【社会人野球】二大大会“年間8勝”で「常勝」の礎を築いた三菱重工East 勝因の一つは大川GMのマネジメント力
ターニングポイントは昨年の都市対抗
チームを指揮する佐伯功監督(東北福祉大)は三菱重工名古屋を率いた18年に、社会人日本選手権を制した実績がある。キャリア十分ではあるが、再編・統合したチームを結束させるのは、相当な苦労がともなったという。 「私は、チームは監督の器以上に大きくはならないと思っています。名古屋とは環境、戦力も違います。就任当初は自分流のさい配をしていましたが、年を重ねるごとにやり方を変えてきた。ターニングポイントは、昨年の都市対抗です。勝てる、優勝できると手応えを得て東京ドームに乗り込みましたがベスト8。まだ、そこまでの力がないという現実を突きつけられたわけです。ありきたりですが、あの敗戦を機に、全員が本気になった。口で言っても、人から言われても、実感は持てない。現実に黒獅子旗に手が届く認識を持ち『ちゃんとやれば勝てる』と。2023年シーズンが終わった段階で『都市対抗優勝』を見据えて、次年度へのスタートを切りました。佐伯監督は自己暗示をかけていた部分もあると思います。チーム、自分自身も、その気にさせながら、佐伯自身も監督としてワンランク、意識が上がった。尻に火がついたのです。ただ一つの不安材料は(中心選手が)高年齢でしたので、24年も成長カーブを描けるのかの懸念がありましたが、その影響はなかったです」 ベストナインの本間は30歳、正捕手の対馬は32歳、四番・小柳卓也(日体大)が33歳、主将・矢野幸耶(北陸大)、外野手の武田健吾(自由ケ丘高)、江越海地(長崎・海星高)が30歳と、経験豊富な布陣が頼もしかった。ベテラン勢に加え、2年目の山中、1年目の中前祐也(中大)、東芝から補強された下山悠介(慶大)、齊藤大輝(法大)の若手が融合。投手陣もチームの精神的支柱である31歳の大野亨輔(専大)、27歳の長島彰(中京学院大)に、3年目右腕・池内瞭馬(国学院大)が貴重な働きを見せた。大川GMが追い求めてきた戦力バランスが整い、機能したのである。