メタボリズム建築って個性的すぎる!レジェンド建築家・黒川紀章の記憶に残る代表作5選
和歌山県立近代美術館/和歌山県・和歌山市
和歌山城の天守閣を間近に望む、緑豊かな台地に建つ和歌山県立近代美術館。伝統と現代の景観上の共生を象徴するのが、特徴的な屋根庇の重なりです。 また、建物の正面に立ち並ぶ巨大な灯篭をはじめ、外構造園には熊野古道をイメージした散策路、池や滝を配置。池の中には、天然記念物である根上がり松を背景にした野外ステージが設けられるなど、和歌山城の歴史や、熊野の自然とのつながりを感じさせます。さらに、外壁タイルのディテールや色彩にも日本の伝統美を抽象的に表現。黒川の共生の思想が色濃く反映されています。 この美術館と、黒川とのゆかりの深さを表すトピックスがもう1つ。前述の「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」の一環として2022年に解体された中銀タワービルのカプセルの内の1つ「展示用A908」が、2023年8月、和歌山県立美術館に到着。黒川紀章建築の原点が詰まったカプセルを、1990年代の黒川建築の空間で体感できる、貴重な場として話題を呼んでいます。 和歌山県和歌山市吹上1-4-14 ++ 日本における近代建築を飛躍させ、世界に向けて発信した黒川紀章。美術館や博物館、スタジアムといった大規模建築や都市型建築など、ボーダレスにその才覚を発揮しました。メタボリズムや共生といった独自の思考を貫いた数々の名建築は、未来へ向けて人が大切にするべき多くのメッセージを伝えてくれているようです。