メタボリズム建築って個性的すぎる!レジェンド建築家・黒川紀章の記憶に残る代表作5選
国立新美術館/東京都・六本木
「森のなかの美術館」をコンセプトに設計された国立新美術館は、大波のようにうねるガラスのカーテンウォールが印象的です。この南側の曲線美と共に、正面入り口の円錐形が個性を発揮しています。 また免震装置による地震・安全対策、雨水の再利用による省資源対策、床吹出し空調システム等の省エネ対策を施し、機能性を追求した設計に。吹き抜けの1階ロビーに足を踏み入れると、ガラス越しには四季折々の表情を見せる草木が目を潤し、生涯にわたって「共生」の思想を唱え続けた黒川の思いを体現するかのようです。 この国立美術館は、国内外の多くの美術館を手掛けた黒川が、生前に完成した最後の美術館としても歴史に名を刻んでいます。 東京都港区六本木7-22-2
寒河江市役所庁舎/山形県・寒河江市
黒川建築初期の代表作と称される、「メタボリズム」の影響も顕著なモダニズム建築が寒河江市役所庁舎です。 4本のコアから高張力鋼で吊られた3・4階が大きく張り出すインパクトのある設計で、2階から4階までの中心部が吹き抜けに。さらに2階ホールの床の一部をガラスブロックにすることで、吹き抜けから入る光が1階の議場まで届く構造になっています。 吹き抜けから見下ろす2階に市民ホールを配しており、来庁者はスロープを上がって2階の窓口スペースへ。1階に議場、3・4階を主に執務スペースとした空間構成も巧みで、従来の庁舎のイメージを打破する新時代の庁舎として、強いメッセージ性を感じさせました。 また、吹き抜けでひと際目を引くのが、岡本太郎による「光る彫刻・生誕」です。1階と2階の入り口の取っ手も岡本が手掛けるなど、気鋭のアーティストの感性が融合した空間は、50年以上もの歳月を重ねた今も色あせることがありません。 山形県寒河江市中央1-9-45
豊田スタジアム/愛知県・豊田市
吊り構造と可動式屋根が特徴的な球技専用スタジアムで、1999年に竣工した豊田大橋に隣接する形で完成しました。 スタジアム設計の最大のポイントは、空気枕方式の軽量屋根を用いた、扇子状に折り畳む開閉方法です。天然芝のグラウンドに太陽の自然光を当てることと、可動屋根の開放時にもメインスタンドの観客席は屋根で覆うという条件の下で考案されたこの方法。世界的にも珍しい画期的な構造を有した可動屋根でしたが、残念ながら運用コスト縮減のため、築20年を迎えた2021年に固定型へと改修されました。 同じく黒川の設計により、先行して竣工した豊田大橋は、車道よりも歩道を広く確保した歩行者優先の橋。恐竜の骨格を彷彿させるような斬新なデザインで、サッカーやイベント開催時には、多くの観客がスタジアムをめざす高揚感の演出にひと役買っています。 愛知県豊田市千石町7-2