6月10日は「こどもの目の日」6歳で1.0の視力をめざそう! 近年では幼児からできる治療法も【眼科医監修】
近視の進行を抑えるには、外遊びが有効。日陰のベンチに座っているだけでもOK
近視の進行を抑制するために、有効なのが外遊びです。五十嵐先生は、幼児はもちろん小学生も外遊びを積極的にしてほしいと言います。 ――子どもの近視の進行を抑えるために効果的なことを教えてください。 五十嵐 幼児でとくにすすめたいのは、外遊びです。太陽の光が網膜を刺激して、ドーパミンを分泌すると近視進行の抑制になることがわかっています。エビデンスがあるので、台湾では15年前から1日2時間の学校での屋外活動を取り入れていて、裸眼視力0.8以下の子どもが確実に減少しています。 またオーストラリアの調査では、6歳から6年間、外遊び時間が多い子どものグループと少ない子どものグループを追跡調査した結果、近視の発症には最大16倍の差があるという結果も出ています。 近視の発症を抑制するには、外遊びは長いほどいいとされています。ただし直射日光に当たる必要はありません。木陰で遊んでいてもいいですし、日陰のベンチに座っていてもいいです。屋外で過ごすことが大切です。
点眼薬など、幼児でもできる近視抑制治療も
日本は近視抑制治療では残念ながら遅れているそう。しかし海外で効果が認められている治療が、自由診療ではありますが日本でも受けられるそうです。 ――子どもの近視抑制治療について教えてください。 五十嵐 海外では近視抑制治療は進んでいます。しかし日本では、海外では有効性が認められている治療も厚生労働省の承認が得られていません。日本で近視の抑制治療を受ける場合は自由診療(保険適用外)となります。 たとえば4歳からの幼児でもできるのは、「低濃度アトロピン点眼」による治療です。1日1回~2回、寝る前などに点眼します。0.01%、0.025%、0.05%などの濃度があります。0.05%が最も効果が高く、近視による眼軸長の伸びを約50%抑える効果があると報告されています。濃度が高くなるほど手元がまぶしくて見えにくくなるなどの副作用が報告されています。しかし幼児期、学童期は近視がとくに進行しやすいので、高い濃度をすすめられることもあるでしょう。 低濃度アトロピン点眼薬は、医療機関によって異なりますが、1本2000~3000円ぐらい(約1カ月分)が目安です。 ほかに4歳からの幼児でもできる近視抑制治療には、「レッドライト治療法」があります。専用の機器を使って、家庭で1日2回各3分、赤い光線を目に当てることで、近視の原因となる眼軸長の伸びを緩やかにします。近視進行の抑制効果は約90%という報告もありますが、診療費や機器のレンタル代など初年度は年間20万円近くかかります。