【バイク・インプレ】スズキ「GSX250R」|LEDヘッドライトを新たに装備! フルカウルスポーツのロングセラーモデル
実用性能を大切にしたキャラのロングセラー
GSX250Rは、2017年に初代が登場したロングセラーモデル。スポーツライディングでの速さよりも実際の使用状況に見合った乗りやすさを重視したコンセプトのフルカウルスポーツだ。細かい変更を除けばスタイリング、メカニズムとも、デビュー以来基本的に大きな変更はないが、登場からずっと安定した人気を誇っているのは、こうした「ライダーに優しい」コンセプトが支持されていることの証でもある。 【写真はこちら】「GSX250R」2024年モデルの全体・各部・走行シーン、カラーは4色 スズキが誇るスーパースポーツ、GSX-R系を想わせるスポーティなデザインだが、ハンドルが若干低くなった程度で、シートの着座位置とステップ位置はルーツであるGSR250からあまり変わってはおらず、ライディングポジションはゆったりしたものとなっている。今回試乗した2024モデルではヘッドライトがLEDとなるアップデートを受けたが、ライトユニット自体が従来型のデザインに合わせた形状になっており、全体の印象はそのまま引き継がれている。 搭載されるエンジンはSOHC2バルブの並列2気筒で、公道で常用する回転域での扱いやすさを徹底追求した特性となっている。24PSというパワースペックだけ見ると、高性能バイクを見慣れたライダーには物足りなく感じられるかもしれないが、その最高出力を発生するのは他のライバル車たちより低い8000回転。最大トルクも6500回転で発生するから、トップエンドまでブン回して乗らなくても十分に力強く、発進加速もタンデムライディングもラクにこなせ、乗っていてストレスを感じないのが魅力だ。 このエンジンは振動が少なく、吹け上がりもスムーズなのも大きなポイントで、高速道路などでのクルージングがとても快適。さすがに峠道の登り区間をフル加速するようなシチュエーションで乗れば高回転域のパワー不足を感じるが、ストリートや中回転域をメインに使うようなツーリングペースであればまったく不満はない。 ハンドリングはライバル車より扁平率が高く、太い設定のフロントタイヤの採用に加え、カウル装着、加えて前傾姿勢によってフロントの荷重が増加していることもあって、市街地でも峠道でもフロントまわりの落ち着きが際立っている。 おかげで高速道路で横風を受けても直進性を乱されにくいし、峠でもライダーの技量や路面状況を問わず、安心してコーナーをクリアできる。ABSが標準装備で安心感が高いのも、ビギナーや余計な神経を使いたくないライダーには嬉しいポイントだ。 夜間の試乗はしていないのでLEDヘッドライトの効果は体感できていないが、白い光を放つ姿は新鮮だし、精悍なルックスのフルカウルにもよく似合っている。現実的な速度域での扱いやすさを重視したキャラクターも健在だし、相変わらずリーズナブルな価格も大きな魅力だ。
太田安治