【天皇賞(秋)】武豊騎手とエアグルーヴが達成した17年ぶりの偉業 伝統の秋盾を「記録」で振り返る
現役レジェンド2人による最多勝争い
古くは保田隆芳騎手が7勝をあげている天皇賞(秋)。1986年以降では、複数勝利をあげている騎手はほとんどおらず、騎手勝利数をランキングすると3位タイは2勝。O.ペリエ騎手、岡部幸雄騎手、柴田善臣騎手の3人となる。 柴田善騎手は1993年にヤマニンゼファーで1勝目をあげ、サイレンススズカに悲劇が起こった1998年はオフサイドトラップで2勝目をあげている。 また、岡部騎手は2002年、ペリエ騎手は2003年に、それぞれシンボリクリスエスとのコンビで天皇賞(秋)を制した。 勝利数ランキングのツートップが3位に大きく差をつけており、2位のC.ルメール騎手が5勝、1位の武豊騎手は6勝と、現役レジェンド2人によるマッチレースとなっている。 ルメール騎手の当レース初勝利は、レイデオロとコンビを組んだ2018年。以降、アーモンドアイ(2019、20年)、イクイノックス(2022、23年)で勝利を挙げ、ここ6年間で5勝の固め打ち。敵なしと言っていいほどの好成績だ。 勝利数トップの武豊騎手は、1989年にスーパークリークで制してからもコンスタントに勝利をあげてきた。上述した1997年エアグルーヴでの勝利ほか、スペシャルウィーク(1999年)、メイショウサムソン(2007年)、ウオッカ(2008年)、キタサンブラック(2017年)と、名馬とともに歴史を築き上げている。 また、調教師の勝利数も見ていくと、期間内で2位タイとなるのが国枝栄調教師や池江泰寿調教師、白井寿昭調教師、木村哲也調教師などの2勝。そして1位は藤沢和雄調教師の6勝となっている。 藤沢師は先述したバブルガムフェローやシンボリクリスエス、レイデオロなどで勝利。2002年から2004年にかけて3連勝を記録しており、またペリエ騎手やルメール騎手の起用も印象に残る。 今年も武豊騎手はドウデュース、ルメール騎手はレーベンスティールとそれぞれ有力馬を確保。今秋のGⅠ戦線では、秋華賞で1着ルメール騎手・2着武豊騎手、菊花賞は1着ルメール騎手・3着武豊騎手とどちらも好成績を残している。天皇賞(秋)の舞台でも、レジェンド2人による上位争いとなるのだろうか──。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん