【天皇賞(秋)】武豊騎手とエアグルーヴが達成した17年ぶりの偉業 伝統の秋盾を「記録」で振り返る
エアグルーヴが17年ぶりの牝馬V
今週は天皇賞(秋)が開催される。1937年からはじまったとされる伝統の一戦で、マイル路線から長距離路線の幅広いメンバーが2000mという距離で激突。実力馬同士が火花を散らすレースになりやすく、ここ10年では1番人気が7勝と人気決着も多い一戦だ。ここでは1986年以降のデータを使用して当レースを振り返る。 【2024菊花賞】注目の予想はここからチェック! 低配当となった馬連オッズをランキング化すると、3位が2000年(1着テイエムオペラオー、2着メイショウドトウ)の4.9倍、2位が2021年(1着エフフォーリア、2着コントレイル)の3.9倍、1位が1997年(1着エアグルーヴ、2着バブルガムフェロー)の2.9倍となる。 3位から見ていく。テイエムオペラオーは2000年にGⅠ・5勝を含む8連勝を達成。その6連勝目が天皇賞(秋)だった。 同世代からはナリタトップロード、ロサードなどが出走し、他にもステイゴールド、イーグルカフェなどがいる豪華メンバーのなか、2着に2馬身半差をつける快勝をおさめた。 2位の2021年は馬連3.9倍にもかかわらず、実は1・2番人気の決着ではない。1番人気コントレイル、2番人気グランアレグリア、3番人気エフフォーリアという人気順となっており、3→1番人気での決着だった。 3番人気までが単勝3倍台、4番人気のカレンブーケドールは19.6倍という完全なる「三強」の構図。結局、2番人気グランアレグリアも3着に食い込み、三連複のオッズは3.5倍と期間内で最も低い記録となっている。 1位の1997年は牝馬のエアグルーヴが優勝。前年にオークスを制した実力馬が古馬となってマーメイドS、札幌記念と連勝。天皇賞(秋)では2番人気に支持された。 そのエアグルーヴをおさえて1番人気となったのが、前年覇者のバブルガムフェロー。前年は毎日王冠3着→天皇賞(秋)1着という流れだったが、この年は前哨戦の毎日王冠を勝利する万全の体制で、単勝1.5倍という支持を集めた。 皐月賞馬ジェニュインをはじめ、サイレンススズカやロイヤルタッチなど強豪が集結するなか、レースは上位人気2頭によるデッドヒートに。 好位からメンバー中2位となる上がり3ハロン35.1の末脚を繰り出したバブルガムフェローを、同最速34.7をマークしたエアグルーヴがクビ差で撃破。3着ジェニュインとの着差は5馬身ということからも、強者2頭による見事な決着だったと言える。 17年ぶりとなる牝馬による天皇賞(秋)制覇を成し遂げたエアグルーヴは、同年の年度代表馬にも選出された。これも1971年のトウメイ以来、26年ぶりという偉業であった。 また、引退後は数々の名馬を輩出。産駒にはアドマイヤグルーヴやフォゲッタブル、ルーラーシップ、グルヴェイグらがいて、さらに孫やひ孫にはドゥラメンテ、ジュンライトボルト、レッドモンレーヴ、ローシャムパーク、グルーヴィット、アンドヴァラナウトと多くの重賞馬たちが並ぶ。 種牡馬となったドゥラメンテやルーラーシップの産駒まで含めると、数えきれないほどの活躍馬にエアグルーヴの血が流れている。そんな名牝が衝撃的な強さを示した一戦が、1997年の天皇賞(秋)だった。