相変わらずゲームシーンでは“チート級”の実力 11月15日発売の高コスパCPU「Ryzen 7 9800X3D」(約8.7万円)を試して分かったこと
ゲーム以外の「重たいこと」でも3D V-Cacheは効果ある?
ここまで「CPU自体の速さ」「一般的なPC操作」「ゲームでのパフォーマンス」を見てきたが、最後にもう1つ、PCに高い負荷をかけるクリエイター向けの作業にスポットを当ててRyzen 7 9800X3Dの性能を確認しよう。 今回は「Adobe Lightroom Classic」を利用し、ニコンのデジタルカメラ「Nikon Z 7II」で撮影した100個のRAWファイルを、そのままの解像度でJPEGファイルとして書き出しを行う所要時間を計測した。結果は以下の通りだ。 ・Ryzen 7 9800X3D:26.99秒 ・Ryzen 9 9950X:30.1秒 ・Ryzen 9 9900X:31.8秒 ・Ryzen 7 9700X:33.4秒 ・Ryzen 5 9600X:38.3秒 ・Core Ultra 9 285K:25.16秒 ・Core Ultra 5 245K:26.61秒 Ryzen 9000シリーズ内の比較では、やはりRyzen 7 9800X3Dが短時間で済んでいる。書き出しに使ったLightroom Classicアプリのパフォーマンスアップ効果もあるのかもしれないが、少なくとも「写真の現像や書き出し」程度であれば、Ryzen 7 9800X3Dはコア数のより多いCPUと同程度の性能を持っている言っていいだろう。 もちろん写真(静止画)の編集よりも負荷の掛かる動画編集では、上位CPUに分がある結果になると思うのだが「ゲームでも遊ぶ。テレワーク時には仕事にも使う。趣味にも使う」ようなマルチな用途を1台のデスクトップPCで済ませようとしたときに、Ryzen 7 9800X3Dはどの方面にもちょうどいいパフォーマンスを発揮するCPUといえる。
ワッパはどう?
Ryzen 7 9800X3Dは、TDPが120Wに設定されている。これは歴代のRyzenの中では比較的高い方なのだが、実は先代のRyzen 7 7800X3Dから変わっていない。今までのRyzen 9000Xシリーズが「TDP低くなったけど、性能上がったよ」的なアピールをしていたことを考えると、「え、TDP(≒消費電力)高くない?」という残念感が先に立ってしまう。 そこで、実際の消費電力をワットチェッカーを使って調べてみた。今回はWindowsにログインした後、10分間放置した状態を「アイドル状態」、3DMarkのTime Spy Extremeを実行した際のピーク電力を「高負荷時」として計測した。結果は以下の通りだ。 ・Ryzen 7 9800X3D ・アイドル時:88W ・ピーク時:471W Ryzen 9 9950X ・アイドル時:91W ・ピーク時:573W Ryzen 9 9900X ・アイドル時:91W ・ピーク時:546W Ryzen 7 9700X ・アイドル時:91W ・ピーク時:507W Ryzen 5 9600X ・アイドル時:91W ・ピーク時:497W Core Ultra 9 285K ・アイドル時:65W ・ピーク時:459W Core Ultra 5 245K ・アイドル時:65W ・ピーク時:441W さすがにCore Ultra 200Sシリーズと比べると消費電力は大きいのだが、他のRyzen 9000Xシリーズと比べると消費電力は抑えられている。TDPの大きさの割に、ワッパは良好といえそうだ。