相変わらずゲームシーンでは“チート級”の実力 11月15日発売の高コスパCPU「Ryzen 7 9800X3D」(約8.7万円)を試して分かったこと
重量級の「AAAゲーム」でも性能を発揮できる?
ここまでのテストは、あくまでもベンチマークアプリを用いたテストであり、実際のゲームプレイと違い「決まった順にテストを実行するもの」だ。 そこで実際のゲームをいつも通りにプレイして、その平均フレームレートを比較してみようと思う。今回は「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマードコア6)」「Cyberpunk 2077」「Microsoft Flight Simulator」の3タイトルを遊び比べた。 アーマードコア6 アーマードコア6は発売から1年が経過しているが、パッと見のグラフィックスの細かさの割には意外と負荷は軽い。それでも、CPU内蔵GPUでは「最高画質」あるいは「高フレームレート」で遊ぶのは難しい。超重量級のゲームタイトルを遊ぶ予定はないにしても、「アーマードコア6が快適に遊べるくらいの性能」が、自作PCの予算/構成を考える際の1つのベンチマークにもなっている。 そんな本タイトルの平均フレームレートは以下の通りだ。 ・フルHD ・Ryzen 7 9800X3D:120.0fps ・Ryzen 9 9950X:119.8fps ・Ryzen 9 9900X:119.8fps ・Ryzen 7 9700X:119.7fps ・Ryzen 5 9600X:119.8fps ・Core Ultra 9 285K:114.5fps ・Core Ultra 5 245K:117.2fps WQHD ・Ryzen 7 9800X3D:120.0fps ・Ryzen 9 9950X:119.5fps ・Ryzen 9 9900X:119.7fps ・Ryzen 7 9700X:119.8fps ・Ryzen 5 9600X:119.8fps ・Core Ultra 9 285K:112.7fps ・Core Ultra 5 245K:114.5fps 4K ・Ryzen 7 9800X3D:118.9fps ・Ryzen 9 9950X:116.9fps ・Ryzen 9 9900X:117.1fps ・Ryzen 7 9700X:116.6fps ・Ryzen 5 9600X:117.8fps ・Core Ultra 9 285K:115.8fps ・Core Ultra 5 245K:113.7fps Ryzen 7 9800X3Dは全解像度で“ベスト”を記録した。フルHD/WQHD解像度では、上限の120fpsに張り付いている。他のCPUにおける結果を見れば分かる通り、GPU“だけ”では上限張り付きは難しい。フレームレートに上限設定がなかった場合は、どうなっていたのだろうか……? Cyberpunk 2077 Cyberpunk 2077は、現行のPCゲームの中でも上位を争う高負荷タイトルだ。今回は、ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を使って平均フレームレートのチェックを行った。 ゲーム設定はプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」を選択し、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でテストした。DLSS(超解像技術)も有効にし「クオリティ・フレーム生成あり」をオンにしている。結果は以下の通りだ。 ・フルHD ・Ryzen 7 9800X3D:237.26fps ・Ryzen 9 9950X:224.82fps ・Ryzen 9 9900X:218.38fps ・Ryzen 7 9700X:224.81fps ・Ryzen 5 9600X:217.69fps ・Core Ultra 9 285K:203.4fps ・Core Ultra 5 245K:203.46fps WQHD ・Ryzen 7 9800X3D:191.59fps ・Ryzen 9 9950X:181.99fps ・Ryzen 9 9900X:183.17fps ・Ryzen 7 9700X:180.37fps ・Ryzen 5 9600X:184.26fps ・Core Ultra 9 285K:174.94fps ・Core Ultra 5 245K:169.98fps 4K ・Ryzen 7 9800X3D:124.05fps ・Ryzen 9 9950X:120.6fps ・Ryzen 9 9900X:119.61fps ・Ryzen 7 9700X:120.05fps ・Ryzen 5 9600X:120.33fps ・Core Ultra 9 285K:120.55fps ・Core Ultra 5 245K:119.95fps 「さすがにヘビーなのでRyzen 7 9800X3Dには荷が重いのでは……?」と思っていたのだが、全ての解像度でRyzen 7 9800X3Dがトップに立った。これにはびっくりした。 GPU側でDLSSを使ったりフレーム生成を有効化したりしている効果もあるが、最上位CPUをも超えるフレームレートをたたき出せるとなると、ゲームにおける3D V-Cacheの効果はとても大きいことは間違いない。 Microsoft Flight Simulator Microsoft Flight Simulatorも、重量級タイトルとして定番だ。精細に描かれる風景は、さながら実写を見ているかのような再現度だ。一方で、その分読み込まれるデータ量が多いことから、GPUだけでなくCPUにもかなりの負荷がかかる。 今回はDLSSをオンにしてフレーム生成も有効とし、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度においてディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦し、CapFrameXで2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。 ・フルHD ・Ryzen 7 9800X3D:262.8fps ・Ryzen 9 9950X:178.9fps ・Ryzen 9 9900X:179.81fps ・Ryzen 7 9700X:192.4fps ・Ryzen 5 9600X:188.4fps ・Core Ultra 9 285K:176.9fps ・Core Ultra 5 245K:174.4fps WQHD ・Ryzen 7 9800X3D:239.4fps ・Ryzen 9 9950X:181.0fps ・Ryzen 9 9900X:186.4fps ・Ryzen 7 9700X:191.3fps ・Ryzen 5 9600X:178.2fps ・Core Ultra 9 285K:174.3fps ・Core Ultra 5 245K:170.1fps 4K ・Ryzen 7 9800X3D:177.4fps ・Ryzen 9 9950X:146.1fps ・Ryzen 9 9900X:147.4fps ・Ryzen 7 9700X:146.6fps ・Ryzen 5 9600X:147.5fps ・Core Ultra 9 285K:145.1fps ・Core Ultra 5 245K:142.8fps これまた、Ryzen 7 9800X3Dが全解像度で快勝した。 ゲームの快適さに占める割合として、もちろんGPUは非常に大きなウエイトを占める。しかし、例えば高解像度なゲームともなれば、精細に作られたオブジェクトの描画に際し、データをストレージから読み出したり、データを処理したりする命令をためておく際に必要なCPUのキャッシュメモリも、性能を大きく左右する。 その点でいえばやはり3D V-Cacheの「大容量のL3キャッシュメモリ」の効果は絶大だ。Ryzen 7000シリーズと比べてCPUコア自身のパフォーマンスも向上したこともあり、Ryzen 7 9800X3Dはまさにゲームシーンではチート級の速さを実現してしまうというわけだ。