H2Oが低価格新スーパー…格安進出に対抗、春めどに出店
流通大手エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは2025年春をめどに、関西で低価格の新しいスーパーマーケットを出店する。物価高による節約志向を踏まえ、価格競争力を高めて、進出が相次ぐ格安スーパーに対抗していく。(北野浩暉)
新店舗は、傘下ブランドが複数出店している地域で、低価格を売りとしたトライアル店舗として始める。新ブランドとして展開し、「2~3年以内に2桁規模の店舗数を目指す」(荒木直也社長)方針だ。
H2Oは21年、関東地盤の食品スーパー「オーケー」(横浜市)との争奪戦の末、関西スーパーマーケット(現・関西フードマーケット)を傘下に収めた。現在は、関西スーパーとイズミヤ、デイリーカナート、阪急オアシスの4ブランド計約240店からなる関西最大級の食品スーパー連合を展開。24年度の総売上高は4300億円に達する見通しだ。
各ブランドは、出店地域ごとの特色に合わせた店づくりや品ぞろえ、価格戦略を進めており、阪急オアシスは高級路線、他の3ブランドは標準的な価格帯を中心とした生活密着型となる。足もとでは「消費が二極化し、生活防衛意識がまだまだ強い」(荒木社長)ことから、低価格ニーズに応える新戦略を進める。
首都圏に次ぐ人口規模を持つ関西には、域外からもスーパーの出店が相次ぐ。 大容量で低価格の精肉や総菜などを得意とするロピア(川崎市)は20年に大阪府寝屋川市に出店して以降、関西圏では計21店舗に拡大した。24年11月には、オーケーが大阪府東大阪市に自前で出店し、26年までに兵庫県や大阪府で計12店を出店する方針を示している。
H2Oは新店舗の拡大のほか、既存ブランドでも、販売促進や仕入れといったオペレーション業務の統合で効率を高め、規模のメリットを生かす戦略を描く。商品面では、業務提携したコンビニ大手ローソンとの共同開発、傘下の阪急百貨店とスーパーによるプライベートブランド「阪急プレミアム」の展開などの取り組みを強化する。