名刺に写真、人間関係も「捨てる」という選択を…片付けのプロが教える人生最期の「大掃除」法
自分で「おタカラ鑑定団」
高そうなものを販売するなら、少し手間がかかるが、個人と業者をつなぐサイト「ウリドキ」を活用するのもいい。同社代表取締役の木暮康雄氏が言う。 「弊社のサイトは、ブランドを選択して商品名を入力し、商品画像を添付するだけで、その情報をもとに、古物商の免許を持った複数の業者が査定します。その中から一番高い値段を提示した業者に販売してもいいし、納得できなければ売らなくても構いません。 査定価格を比較すれば、その品のおおよその相場価格をつかむことができます。その情報を得たうえで、どこかの実店舗に持ち込んで高く売ってもいい。事前に相場価格を知っておくことで納得感が得られるでしょう」 タンスに眠るおタカラの相場感がストレスなくわかる。これはちょっと楽しいかもしれない。 長い間、かさばるだけで無価値と思われてきたが、近年、見直されているものがある。それがレコード盤だ。国内最大級のレコード買い取り専門店「セタガヤレコードセンター」を運営する「CARASCO」広報の小椋賢氏が解説する。 「最近、若者の間でレコードがブームで、買い取り価格も上がってきています。高価買い取りにつながりやすいのは、やはりビートルズです。状態がよくて、帯などの付属品が揃っていれば、数十万円になることも。 あとはテレサ・テンですね。中国や台湾で発売されていない期間があり、日本国内だけでレコードが流通していたのが一因と考えられています。その後、台湾や中国でも人気が高まり、日本のレコードに人気が集まって市場価格が高止まりしている状態です」
物はあの世に持っていけない
一方で大した価値にならないのが書籍だ。片付け講師で、一般社団法人「実家片づけ整理協会」代表理事の渡部亜矢氏が蔵書を残すことは避けたほうがいいと話す。 「本を残しておいたら財産になると考えている人もたまにいますが、高く売れるような本はほとんどありません。学生時代に読んだ文庫本などには思い入れもあるかもしれませんが、字が小さくて読めないので、処分してしまいましょう。再読したければ、大きな文字のものが出ています」 本当に不要なのかどうか判断がつかない場合、時間の助けを借りるのも一つの方法だ。 「片付けをするときに、要るものと要らないもの、一時保管するものの3つに分けるといいと思います。要らないものをすべて捨てようとすると、そこで片付けが止まってしまうので、一旦保留にして、とりあえずダンボールかゴミ袋に入れてよけておく。しばらくすると、その中に何が入っているのか忘れてしまうはずです。そうなったら、中身を確認せずにそのまま捨ててしまいましょう。こうすることで、だんだん捨てられるものも増えていくはずです」(渡部氏) 終活コンサルタントの海老原正弘氏は、現役時代の人間関係を整理するとともに、新しい友人を見つける努力はしたほうがいいと語る。 「コツは、たとえ年下でも『○○くん』などと呼ばず、絶対に偉そうにしないこと。呼び捨てなんてもってのほかで、『○○さん』と呼んでいます」 人は一人で生きて、一人で死んでいく。物はあの世に持っていけない。曹洞宗八屋山普門寺住職で、臨床心理士の吉村昇洋氏が総括する。 「日本に伝わった仏教の教えでは、相手が喜ぶことを大事にします。遺される家族にとって喜ばれる残し方とは何かと考えたら、やはり物をできる限り少なくすることではないでしょうか。どこの家族も片付けは本当に大変ですから。自分の人生に潤いをもたらすものだけ残し、それ以外は片付ける。そうすれば、家族の喜ぶ顔が浮かんでくるではありませんか」 次章では、実際に人生の「大掃除」に取り組んだ実践者に話を聞く。 『第3部_2_2』へ続く 『週刊現代別冊 おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』が好評発売中! 累計188万部の大人気シリーズが、大幅リニューアルでさらにわかりやすくなりました! 週刊現代の大反響記事を、加筆のうえ、ギュッとまとめた一冊です。
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