BMWのキーマンが明かす「パワトレと水素」戦略、内燃エンジン車、BEV、FCEV…魅力ある車を作る
第6世代と呼ばれるこの技術には、充電時間を短縮し、航続距離の伸長も可能とする新しいリチウムイオンバッテリーが採用される。バッテリーパックは車体の構造体としても機能して、車両の軽量高剛性化にも貢献する。 「補足をしておくと、今後開発されるBEVがすべてノイエ・クラッセのアーキテクチャーを使うわけではありません。コンパクト、ミディアム以上、ノイエ・クラッセの3つのアーキテクチャーに、Gen.6のeドライブ技術を組み合わせることで、多様なBEVのラインナップを展開します」
BMWは電動化戦略について「パワー・オブ・チョイス」というワードを用いる。つまり内燃エンジン専用車とBEV専用車を作り分けるのではなく、1つのモデルに内燃エンジン、PHEV(プラグインハイブリッド車)、BEVに、可能ならばFCEV(燃料電池車)まで幅広いパワートレインを用意して、ユーザーに選択してもらうというものだ。 実際、最高峰の「7シリーズ」にはガソリンとディーゼルの内燃エンジン車とPHEV、さらにBEVが設定されている。
その方針は今後も変わらず、BEV専用アーキテクチャーを使い、デザインも室内環境もドラスティックに変えていくノイエ・クラッセだけではなく、現在と同じように内燃エンジン車と共通の車体を使ったBEVも引き続き展開していくというわけだ。だが、昨今のBEV市場の退潮は、計画にまったく影響を及ぼさないのだろうか。 ■フレキシブルな対応を重視 「パワー・オブ・チョイスの言葉の通り、お客様が選べるということが重要と考えて、柔軟性のあるアーキテクチャーを用意してきました。さらに技術的にできるというだけでなく、実際に作れなければいけないので、内燃エンジンとBEVの切り替えがフレキシブルに行える生産工程を採用しています。ポイントは、BEV市場の成長過程において、ユーザーが想定以上にBEVを選んだ時でも、あるいは逆に販売が減少した場合でも、容易に対応できるということで、今後もその考えは変わりません。フレキシブルに両方のパワートレインを提供することが大事だと考えています」