ソフトバンクGの株主総会、孫正義氏が示した考え
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は定時株主総会で、人類の1万倍賢い「人工超知能」(ASI)の実現を自社の使命とする考えを示した。何を聞いても話しても人間より約10倍優れている「汎用人工知能」(AGI)が5年以内に誕生すると予測。AGI同士がつながることでASIが10年以内にも生まれるとした。この新市場を取り込むべく、傘下の英半導体設計大手アームや協業企業との連携でAIチップやAIデータセンター(DC)、AIロボット事業を推進する。 【一覧表】孫さんは2位、社長が選ぶ今年の社長 「これからの10年は初めて人類が(ASIに)圧倒的に抜かれるという人類20万年の歴史の交接点になる」―。孫氏はASIの登場により、人間の天才が別の天才と刺激し合って進化が生まれてきた人類の歴史が大きく変わると強調する。人間より約10倍賢いAGIが別のAGIを刺激して進化を加速させるためだという。 孫氏はスマートロボットがASIとつながった場合、「工場でモノを生産したり掃除をしたりと、あらゆる物理的なことをこなすようになる」と指摘する。事例として自社が主力とする「ビジョンファンド」の投資先で、運転技能を学んだAIが自らの判断で自動運転を行う英ウェイブの技術を紹介した。 ASIで生まれる新市場を取り込むための武器がアームだ。米エヌビディアや米マイクロソフトなどに技術をライセンス提供しており、アームの技術を基にしたチップの累計出荷数は2023年に2870億個を突破した。孫氏はアームの強みを「圧倒的な設計能力で演算処理能力を高めつつ電力消費を最少にする」と語る。 孫氏がAI向け半導体を生産する新会社の設立を検討中とした一部報道への明言は避けたが、AIDCやAIロボットなど「グループの総力を上げつつ、志を共有するパートナーたちと資金や技術を出し合ってゴールを達成したい」と述べた。