「いつ氾濫してもおかしくない状態」の氾濫危険情報、予測でも発表へ 国交省
国土交通省は今出水期から、気象庁と合同で発表している指定河川洪水予報のうちの「氾濫危険情報」について、急激な水位上昇で3時間以内に「氾濫する可能性のある水位」に到達する見通しとなった場合は予測に基づいて情報を発表する。スタートは2022年6月13日から。 指定河川洪水予報は、国が管理する河川のうち、洪水により重大な損害が生じるおそれがある河川を指定して発表している。現在、対象となる河川は109水系298河川。危険度が高い方から「氾濫発生情報→氾濫危険情報→氾濫警戒情報→氾濫注意情報」となっている。 今回、発表の仕方を改善するのはこのうちの氾濫危険情報。これまでは実際の水位(実況水位)があらかじめ設定された「氾濫危険水位」に到達した場合にこの情報を発表していた。氾濫危険水位は、発表から氾濫まで概ね1~2時間の時間的猶予があるように設定しているが、近年、集中豪雨などによる急激な水位上昇で、氾濫危険水位に到達してから氾濫発生するまでがこれよりも短時間となるケースがあった。 従来はこのようなケースがあった場合、氾濫危険水位の見直しを行うことで対応してきた。しかし、それだけでは近年増加している急激な水位上昇に対応できないと判断。これまでの実況水位に基づいた発表に加えて、氾濫危険水位よりさらに水位が高い「氾濫する可能性がある水位」に3時間以内に到達する見通しとなった場合に限り、予測に基づいて氾濫危険情報を発表することとしたもの。 国交省の担当者は「これまでの運用より早い段階から警戒を呼び掛けることが可能になる」としている。 なお、氾濫危険情報は「いつ氾濫してもおかしくない状態」の時に発表され、住民の取るべき行動によって5段階に分けられている「警戒レベル」の4に相当する。警戒レベル4は、市区町村が避難指示を出し、危険な場所にいる人は全員避難をする段階だ。このため、氾濫危険情報が発表された時は、もし自治体がまだ避難指示を発令していないとしても、自主的に避難の判断を行うことが大切となる。