町田・相馬勇紀が感じた欧州と日本の違い。そして本気で狙う“奇跡”の逆転優勝への決意【特別インタビュー】
感じたポルトガルリーグの特長とは
今季のJリーグもいよいよクライマックスだ。初のJ1挑戦でのリーグ制覇という偉業を目指す3位の町田は最終節でアウェーでの鹿島戦に勝ち、神戸と広島の結果次第で戴冠の可能性を残す。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 大きなチャンスへ、新たなキーマンとなっているのが、今夏に欧州から古巣の名古屋へ戻り、その後、町田への電撃移籍を決断した相馬勇紀だ。日本代表にも名を連ねる男の決意に迫った特別インタビューの第2弾をお届けする。(全2回/2回) ――◆――◆―― 古巣の名古屋でも貴重な勝利に貢献し、町田に移籍した当初は怪我も抱えていた相馬だが、FC東京戦(○3-0/11月9日)で初ゴールを奪い、京都戦(○1-0/11月30日)では相手のオウンゴールを誘発して決勝弾を奪うなど、ここ2試合で輝きを増している。 その背景のひとつには、4-4-2から3-5-2(中盤は逆三角形、守備時は5-3-2のような形。相馬はインサイドハーフを務める)へのシステム変更があった。 「やっぱり自分がフィットし切れていなかった部分もありましたし、色んな選手と話すなかで、良い時の町田じゃなく、全体的になかなかうまくいっていない時期を迎えていた面もありました。そこに怪我も加わってちょっと大変で。それでもFC東京戦はすごくポジティブなエネルギーと言いますか、それぞれの選手の良いところが出たなという内容でした。 システム変更はだいぶ大きいと思います。やっぱり監督、スタッフの皆さんが思い切って変えてくれ、それが相当にハマりました。4バックでやっていた時に、前から行く際にスライドの難しさがありましたが、5バックではスライドのしやすさ、相手とのハマり具合がより良くなったと思います。より役割がハッキリしたのも大きい。みんなが迷いなくできています」 そのなかで怪我が癒え、コンディションが上がってきた相馬のキレも増しているのだ。そこには1年半、ポルトガルで培ってきた経験も裏付けされている。 「まず判断のスピードは早くなったと思います。あと意識が高まったのがボールを失わないところやボールの置きどころ。ポルトガルでは190センチ以上で身体も強い選手と、当たり前に練習をする環境だったので、当たり負けしない、どうやったらボールを隠して取られないのか、というところを考えてきました。だからこそ個人としてのスキルは上がりましたし、特に帰ってきた最初の(名古屋での)柏戦では、判断が良くなり、かなりフィジカルのレベルは上がったんだなと感じました。1年半で相当選手として成長できたなと思いますね」 ポルトガルと日本のサッカーの違いもあった。 「相手は足も長いし、ボールを奪いに来る。正対して見てくれないので、より早く決断できる選択肢を持っておかないと、やられてしまう。逆にJリーグは、ボールを奪いに来るよりは危機察知能力が優れているので、背後を取られないようにする。その分、かなり早く下がったりするので、足もとでボール受けた時、ディフェンダーとの距離感は結構あるなと、こっちに戻ってきた時には感じました。ボールを奪うよりゴールを守る意識のほうが強いんだなと。 あとはポルトガルではボランチの選手らが、5タッチ、6タッチ、7タッチくらいしてパスを出すなど、自陣でテクニックを披露する傾向もありました。やっぱり誰もがアピールしたがっていましたし、その分、僕も個人スキルは身につきました。 それこそシュートの意識もすごく上がりました。向こうではパスを出したら、次いつ戻ってくるか分からない。(先日のFC東京戦で奪った町田での)初ゴールは珍しい形(CKを直接決めた)でしたが、シュートも4本打てたので、自分としてはそれがかなりいい数だったと思います。 それにかなり余裕を持ってプレーもできました。仕掛けて、切り返すところの置き位置だったり、減速もしっかりできて逆に相手が滑っていた。それはコンディションが良いからこそ、スピードを出した後にしっかり止まれる。そういった面で今はかなり良いと思います」