公益通報窓口の設置・検討企業24.1% 消費者庁長官「制度の運用、周知・啓発を見直していく」
中古車販売大手による保険金不正請求や、雇用調整助成金の不正受給など、コンプライアンス違反が外部からの指摘を受けて発覚する事件が目立っている。こうした企業では、事情を知っている社内の従業員などが早くから声をあげれば被害を抑制できたケースが多い。 刑事罰や過料の対象となる法令違反について、内部または外部に通報(以下、「公益通報」)した従業員等を解雇などの不利益な取り扱いから保護するために、消費者庁が所管する公益通報者保護法がある。2020年6月の改正では、公益通報の受付窓口の設置など、対応体制の整備が求められるようになった。しかし、2022年6月に同法が施行されて1年以上が経過するなか、大手企業であっても十分に対応できていない実態がある。 そこで、帝国データバンクは、公益通報者保護制度に関する企業の見解について調査した。
改正公益通報者保護法に 『対応している』は19.7%
2022年6月に施行された改正公益通報者保護法に関して、自社の理解や対応状況について尋ねたところ、内容を一定程度理解したうえで『対応している』企業は19.7%となった。その内訳は「内容を理解し、対応している」が8.8%、「内容をある程度理解し、対応している」が10.9%だった。 他方、『対応していない』は66.4%となり、とりわけ「言葉も知らない」(18.8%)企業は2割近くにのぼった。 『対応している』企業を業界別にみると、『金融』が56.5%と最も高く、唯一半数を超えた。次いで、『農・林・水産』『製造』(ともに21.9%)、『サービス』(21.8%)、『運輸・倉庫』(21.2%)が2割台で続いた。 また、従業員数別にみると、「1000人超」の企業で70.0%、「301~1000人」の企業で57.4%となったが、規模が小さくなるほどその割合は低下していた。企業からも「零細企業には関係がないと思っている」(建設)や「全く知らなかったため、今後検討する」(飲食料品卸売)といった声が聞かれた。