『シビル・ウォー アメリカ最後の日』で注目のケイリー・スピーニーが語った「父を知らなかった幼少期、そして今の私」
── キルスティンさんとも親しくなったそうですが、彼女からもらった、何か印象的な言葉があれば教えてください。 ケイリー キルスティンはタフで愛情深い人です。一番大きかったのは、「頭の中に浮かんだり業界から聞こえてきたりする、ネガティブな声はすべて無視しなさい。自分らしくやり続けなさい」と励まされたこと。さらに「あなたは素晴らしい俳優なんだよ」と言って、たくさんの自信を与えてくれました。 自分の進むべき方向がわからなくなった時も、35年間この業界で働き、すべてを見てきたキルスティンが「ケイリーなら大丈夫。がんばれ」と声をかけてくれた。子どもの頃から憧れてきた、いわば当時の私にとってのすべてだった彼女からの言葉は、全部心に留めています。 ── 得がたい経験ですね。でも、ケイリーさんもタフに違いないです。 ケイリー 俳優としてキャリアをスタートするなら、タフでなきゃ。キルスティンは6歳で演技を始めました。私は18歳で始めたから、事情は違います。でもいずれにせよ、女性がたった一人で、この業界で生きていくには厄介がつきものです。だから、神経は図太くないといけません。 ただ図太すぎてはダメで、脆さも持ち合わせていないと。なぜなら演技は、繊細な心の内をさらけ出す行為だから。私はタフでありたいけど、同時に赤ちゃんのように頼りない存在でもあるんです。なんでも真剣に受け止めてしまうところがあって、バランスをとらなければと思うけど、なかなか難しいですね。
音楽なくして人生なし。役ごとにプレイリストも作成
── 今作はサントラも、スーサイドなどのUSパンクが中心でカッコ良かったです。ケイリーさんもかつて「NRG」と書いて「エナジー」と読むバンドを組んでいたと聞いていますが……、 ケイリー わ~、恥ずかしい(照)。 ── (笑)。聴くとテンションの上がるヘビロテ曲はあります? ケイリー 音楽が映画作りにとって大事であることは言うまでもないですが、実は役作りにも欠かせません。いつもキャラクターがどんな音楽を聴いているのか考えるんです。なので、私のスマホにはジェシーのプレイリストがあって。 ── え、本当に? ケイリー どれどれ、見てみよう……。PJ ハーヴェイが多くて、コクトー・ツインズ、ニール・ヤングも入れています。それからブライアン・イーノとか、ムーディな曲も。今回の撮影監督であり、『DEVS/デヴス』でも一緒だったロブ・ハーディと二人で、それぞれ曲を足していきました。 ── ロブ・ハーディさんも音楽好きなんですね? ケイリー 大の音楽ファンです! よく覚えているのが『DEVS/デヴス』の撮影前、みんなで集まろうとしていたんです。すると、ロブが「自分はヘビメタのライブに行くから」って。興味を惹かれて「私も行く」と言ってみたら、アレックスが「本気なの? じゃあ彼と一緒に行ってきなさい」と背中を押されて。まだ18歳で若すぎたから、本当はダメだったと思うんだけど、その夜ロブと共にライブ会場のダイブバーへ乗り込みました。いい思い出です。