『シビル・ウォー アメリカ最後の日』で注目のケイリー・スピーニーが語った「父を知らなかった幼少期、そして今の私」
── 先輩カメラマンとしてジェシーを導く主人公リーを、キルスティン・ダンストさんが演じています。キルスティンさんはケイリーさんの演技を「本物の誰かを見ているような気分になる」と絶賛。まだ演技を始めて8年。にもかかわらず、なぜあれだけ真に迫った演技ができるんでしょうか? ケイリー えー、わからないです……! 努力はしていますが、自分のことを俳優だって思えないことも多くて。演技がなんなのかさえわからない。(仕事を)時々は面白いと感じます。でも、役をもらうたびに途方に暮れてしまう。何から始めたらいいか、どうアプローチしたらいいかわからないんです。ルーティンもメソッドもありません。 でも、キルスティンもそうだと思う。同じように、できるだけ自分自身を役に捧げ、正直であろうとするというか。共演した瞬間、お互いに「ああ、私たちって似てる!」と感じたんです。 最終的には、自分を信じるしかない。だから、投げかけてくれた質問に対する答えはありません。なぜ自分がこの仕事を続けているかもわからない。わからないまま、新しい作品を契約し続けていて。でも機会に恵まれたことには感謝しているし、このまま続けていけたらとも思っています。 ── では、なんらかの演技メソッドのトレーニングのようなものは受けていないと? ケイリー ええ、訓練はしていません。でも、した方がいいかも(笑)。 ── いえいえ、もはや必要ないと思います! ケイリー 地元のコミュニティ・シアター(市民劇場)に少し参加していたけど、俳優としてレッスンを受けるような選択肢はなかったですね。故郷では、大人はみんな9時から5時まで働き、同じクッキー型でくり抜いたような生活を送っていて。私は学校での成績があまりよくなかったし、幼い頃から、自分が育ってきたこの世界にいつまでもなじめないだろうという気がしていました。 基本的には、自分の部屋に閉じこもり、映画をたくさん観ていた。その頃、キルスティン・ダンストの、“何もせずとも多くを語る演技”に魅了されました。ちょっとした目線を送るだけで、物語が伝わってくる。キルスティンを見ることが、私のトレーニングだったのかも。