登園をしぶる子に「お友だちも先生も待っているよ」の言葉が逆効果だった理由
朝の忙しい時間にこそ起こる、子どもの登園しぶり。たくさんの言葉を尽くして説得しようとするも、子どもは断固拒否で泣くばかり。心配になって園での様子を聞いてみても、特にトラブルもなく、登園してしまえば楽しく過ごしているよう。それでも毎朝のように登園をしぶる子どもの本音とは? 【1コママンガ】「鬼が怖い」と登園を拒否する4歳児 育児・教育に悩むの多くの親をカウンセリングしてきた公認心理師の山下エミリさんは、心理学とワークを通して欲求を読み解き、その心に寄り添った子育てを説いています。 本記事では、ひどい登園しぶりで仕事まで辞めた親のケースを紹介しつつ、子どもが安心できる親の関わり方を伝える一節を紹介します。 ※本稿は山下エミリ著『お母さんには言えない 子どもの「本当は欲しい」がわかる本 』(青春出版社)より一部抜粋・編集したものです
お母さんから離れられない子の心理
幼稚園に行きしぶるお子さんに悩んでいた、まきこさんの例です。 お子さんが保育園に行けなくなり、まきこさんも仕事を辞めざるを得なくなり、このままでは小学校に行けなくなるのではないか……そんな不安で私が主宰する講座を受講されました。 みんながワクワクしている春休みのたびに、まきこさんは心がザワザワしていたといいます。というのも、お休み中は行きしぶりに悩まされなくて済んだからです。でも、休み明けを思うと憂鬱で仕方なかったそうです。 また「行きたくない。お休みしたい。えーん」と毎朝泣かれる日常が始まる。「お友だちも先生も待ってるよ」「行きたくない。えーん」という娘とのやりとり……。 「ママが大好きな証拠だよ。そのうち落ち着くから」 よく、いろんな人にそう言われていたので、学年が上がる新年度は、特に期待が裏切られて、「いつになったら行けるようになるんだろう……」と、娘の前でいつも暗い顔で過ごしていたそうです。 ある日、まきこさんは講座を学ぶまでは全く気づいていなかったあることに気づきました。お子さんの気持ちに寄り添っているつもりでいたけれど、実は自分の気持ちにしか目が向いていなかったということです。 そのことに気づいた時、「だから、私から離れられなかったんだ」と目から鱗が落ちたそうです。 お母さんの心が未発達で自分自身の気持ちにしか目が向かない時は、お子さんの気持ちには寄り添えません。だから、お子さんが不安な気持ちでいることに気づいてあげられなかったのです。 まきこさんはお子さんを励ますつもりで、一生懸命に、「もうすぐ年長さんだから、歯磨きできるようになろうね」「もうすぐ年長さんだから、一人で準備しようね」というように声がけをしていたそうです。 これって至って普通の声がけの言葉ですよね。でも、まきこさんの無意識の不安が言葉に乗っかり、お子さんには「あなたができていないと私が困るのよ」というメッセージになっていたのです。 つまり、お子さんに思いっきりプレッシャーをかけることになり、行きしぶりを助長していたのですね。 まきこさんの「心」が成長した今は、お子さんの気持ちに寄り添えるようになったので、「同じ言葉をかけても、娘は元気に学校に行っています♫」ということです。