今年PGAツアーで生まれた「スピース・ルール」と「フィッツパトリック・ルール」って何? 前者は“お腹が弱い”選手に朗報!?
「マット・フィッツパトリック・ルール」=ヘッドやフェース面に亀裂で交換可能
今年8月、PGAツアーの年間王者を決めるプレーオフシリーズの第2戦「BMW選手権」最終日でのこと。 マット・フィッツパトリックはラウンドの途中、ドライバーのパフォーマンスに異変を感じ、ヘッドを確認したところ、フェース面に亀裂(ひび)が走っていることが分かりました。彼の飛距離はいつもより数十ヤードも劣っていたそうです。そこで彼はルールオフィシャルを呼び、規則4.1a(2)「ラウンド中に損傷したクラブの使用、修理、交換」で認められる、「適合クラブがラウンド中に損傷した場合、クラブを乱暴に扱った場合を除き、プレーヤーはそのクラブを修理するか、他のクラブに取り替えることができる」による、クラブの取り替えを申請しました。 ところが、そのオフィシャルはクラブフェースの状態をチェックしたうえで、PGAツアーが採用する「モデル・ローカルルールG-9」が定める、クラブフェースが「壊れた、または著しく損傷した」には当たらないとして、取り替えを認めませんでした。 そのローカルルールに記されたクラブフェースが「壊れた、または著しく損傷した」とは、「インパクトエリアが目に見えて変形している」状態であり、「クラブフェースに傷が入っている、亀裂が入っているだけの場合を除く」とあるからでした。 この裁定には本人はもちろん、ツアー仲間やメディアからも「納得できない」との声が多く上がりました。 そして、これがひとつのきっかけだったのでしょう。R&AとUSGAは「モデル・ローカルルールG-9」を改訂。2025年1月からはクラブフェースやヘッドの亀裂、ヘッド内部から聞こえる“カラカラ音”、シャフトの凹みやねじれなども、新たに「壊れた、または著しく損傷した」に当たるとして、そのクラブの修理や取り替えを認めることになりました。
小関洋一