V奪還を狙う旭化成は葛西潤がパリ五輪出場 高卒“叩き上げ”の齋藤椋も主要区間候補に成長【ニューイヤー駅伝】
パリ五輪後は故障回復を優先させ、負荷の大きいポイント練習を再開したのは11月中旬。ニューイヤー駅伝に向けては「練習は100%積めていませんが、昨年と比べてもスピードへの不安はありません。流れに乗れたら何とかなるのでは」と不安を持ちつつも自信を持てている。「今回も5区なら、苦しむことを覚悟して行きます。できれば先頭でタスキをもらいたいですね。その方が有利な状況で走ることができます。前半区間なら、先頭かそれに近い位置で後半区間の選手がトップで走れるようにタスキを渡したいです」葛西に若干の不安がある分を、同期の井川龍人と長嶋幸宝が補う。 井川は前回、外国人選手が起用できなかったためインターナショナル区間の4区に出場した。区間31位ではあったが、広げられたタイムは大きくなかった。順位は4位から5位と1つ落としただけで5区の葛西につないだ。高卒1年目だった長嶋は1区を任されたが、転倒もあって区間13位。区間賞から20秒差と傷を最小限にとどめた。 井川は今季の個人成績が一段レベルアップ。11月の八王子で10000m27分39秒05の自己新をマークしている。葛西が自身と井川の練習を比べ「自分が秀でているとは思えないし、最後まで行ったら足の速さ(トップスピード)で井川には負けます」と話していた。長嶋は今季出遅れていたが、12月1日に10000mで27分55秒03と1年ぶりに27分台で走った。西村功監督が長嶋への期待を次のように話している。「長嶋は前回の1区が3列目のスタートで、大塚製薬の選手が抜け出したときに気づくことができなかったんです。追い上げようとしたところで他の選手と接触して転倒してしまいました。本人は1区でリベンジしたいと言っています。全体でメンバーを組んで別の区間になる可能性もありますが、彼の思いを実現させてやりたい気持ちもあります」。 2年目のトリオはチーム内でも仲が良いことが知られている。葛西と井川が東京勤務で長嶋が延岡だがオンラインゲームを一緒にやることもある。前回のニューイヤー駅伝前には3人で「先輩選手たちも強いけど、自分たちも重要区間を任されたからには、結果を残して優勝に貢献しよう」と話していたことを明かしている。「2年目、3年目とチームの順位を上げていきたいですね。個人としては、確実に区間賞を取れるように準備します」と葛西は話す。葛西を中心とする世代が新たな旭化成の中核となっていくとしたら、それを示すのが25年のニューイヤー駅伝になる。