V奪還を狙う旭化成は葛西潤がパリ五輪出場 高卒“叩き上げ”の齋藤椋も主要区間候補に成長【ニューイヤー駅伝】
ニューイヤー駅伝は主要区間の1つである5区に抜擢され、区間賞の田中秀幸(34、トヨタ自動車)と31秒差の区間2位。チームを5位から3位に引き上げた。出場する大会の過去の動画を見て研究して臨むのが葛西のスタイル。「皆さん最初の上りでエネルギーを使ってしまって、後半でペースダウンしています。飛ばし過ぎないことを意識しましたが、単独走でできる限り振り絞った走りができました。それでもトヨタの田中さんに差を広げられてしまい、悔しかったです」。 ニューイヤー駅伝の3週間後には全国都道府県対抗男子駅伝3区(8.5km)で区間賞を獲得。23分22秒で区間記録を19年ぶりに塗り替えた。「自分の中で壁が壊れていくのが実感できました。練習の設定タイムも上げて行く作業に入って、ステージアップにつながったと思います。1km2分42~43秒がそれまでは若干力まないと出せないスピードでしたが、練習で楽に出せるようになりました」。八王子前には1周(400m)をどのくらいのペースで刻めるか「予想がつかなかった」が、5月の日本選手権前には「64~66秒でも力まず走れる」と感じられた。そして迎えた日本選手権は1周66秒ペースが設定され、葛西は余裕を持ってレースを進めることができた。 残り1000mから葛西がペースを上げると、鈴木芽吹(23、トヨタ自動車)、前田和摩(19、東農大)が後れ、ラスト1周で太田智樹(27、トヨタ自動車)も振り切った。27分17秒46の日本歴代4位で初優勝を飾り、その後Road to Paris 2024のポイントで出場資格も得てパリ五輪代表に選ばれた。 ■葛西と同期入社の井川&長嶋への期待 パリ五輪の葛西は27分53秒18で20位。史上最多の13人が26分台で走ったレースで、世界大会での27分台は日本選手にとって悪い記録ではないのに、まさかの周回遅れになった。「悔しかったですね。競技をやっている限り、リベンジしたいです」。実はパリ五輪前から右足の足底に軽い痛みがあり、完全な状態ではなかった。その分、世界大会でのノビシロは残っている。「来年の東京世界陸上も代表入りのチャンスはあります。1年でリベンジができるとは思いませんが、パリよりも戦える手応えを得たいと思っています」。