サッカー元日本代表・松井大輔、週プレ独占激白! 現役引退発表後、初のロングインタビュー!!
■キングカズからもらった奇抜な言葉 引退を惜しむ声は当然ながら多かった。松井が幼少期からずっと背中を追い続け、公私ともに師と仰ぐキングカズこと、三浦知良(ポルトガル2部・UDオリヴェイレンセ)もそうだ。 「カズさんに真っ先には引退を伝えなかったんです。きちんと自分で結論を出して、正式に発表すると決めてから電話しました。そしたら、『俺はお前の引退を認めないよ。とりあえず、5月まで待ってろよ。俺が帰国するから』と。 いやいや、カズさん、僕はやめるって決めたんですよって返したら、『おまえは俺にパスもアシストも出してないだろ。それをやらないと引退なんてできないと思うんだよな』って。 ナナさん(名波浩・日本代表コーチ)も『引退を認めない』って言ってくださって、やっぱり先駆者というのは言葉選びが独特だなって、感心させられましたね。 今まで、自分の分岐点となるところでは必ずカズさんに相談していたんです。岡田(武史・JFA参与)さんや俊さん(中村俊輔・横浜FCコーチ)からもずいぶんアドバイスを頂いて助けられたけど、カズさんは非常に的確で。 例えば、03年に京都がJ2に落ちて、神戸からオファーをもらったとき、先に神戸へ移籍したカズさんに相談したら、『お前はお前の道を選んだ方がいい。(試合に)出れるチームが一番だから』と。18年にポーランド2部(当時)のオドラ・オポーレから横浜FCに移籍できたのもカズさんのおかげです。 それと21年、フットサルに転向しようと考えた時も『面白いじゃない。大輔、やりなよ』と背中を押してくれました。カズさんは僕にとって今までも、そしてこれからもずっと偉大な王様なんです」
■24年のプロ生活で最も印象的な試合 00年、京都パープルサンガ(当時)で始まったプロ生活は24年に及ぶ。およそ四半世紀の中で最も印象に残っている記憶を尋ねたところ、松井は即座に答えた。 「コマ(駒野友一)との、10年W杯南ア大会での決勝トーナメント一回戦、パラグアイとのPK戦で負けた時の場面ですね。ゴールされたわけではないし、あの試合だけは、今でも負けたという感覚がないんです。 でも、コマが外して、結局負けてしまって(PK3-5)。頭の中が真っ白になって、吸い寄せられるように泣きじゃくるコマの方へ無意識に向かっていって。 (中澤)佑二君がコマの頭をポンポンと叩きながら『大丈夫、大丈夫』って声をかけたのは覚えています。僕は......『コマ、帰ろうぜ』って声をかけたのかな。そこからはずっと無言でした。 あの大会のメンバーでいえば、コマと阿部(勇樹)ちゃんは同じ年で小6からの付き合い。幼馴染なんです。それが小さいころから憧れ続けてきたW杯へともに出場できたわけで。 合宿地でも大会期間中でも食事は基本的に彼らと卓を囲んでいたし、ずっと一緒だった。その親友がああいう結果を招いてしまったわけだから、自分も本当にわれを失ってしまいました」 ベスト8に近づいた瞬間、それは前半22分の時点で訪れた。駒野からの右クロスが入り、こぼれ球を拾った松井はすかさず右足で振り抜いた。シュートはバーを直撃。結果、ゴールには至らなかった。 「たらればの話はあまりしたくないけど、あのシュートは平地だったら入っていたと思います。というのも、試合会場のロフタス・ヴァースフェルド競技場は高地にあって(海抜1333mの首都プレトリアに位置)。 気圧の関係で、ボールが変に伸びてブレブレになるから、クロス一本上げるのにも感覚が非常につかみにくかった。本当、あれは決めたかったですね」