公務員なら一発でクビ、医師なら医業停止…「金を払えば済む」では済まないスピード違反のペナルティ一
■「金を払えば済む」となめていると痛い目に では正式に起訴(公判請求)され、法廷に被告人として立たされることになると、一体どうなるのでしょうか。私は長年にわたり主に東京地裁で道交法違反の裁判を多数傍聴してきました。内容としては、以下の3つが最も多いパターンです。 ・悪質な無免許運転 ・悪質な飲酒運転 ・超過80キロ以上の速度違反 この3つは、原則として「執行猶予付きの懲役刑」に処されます。 速度違反で公判請求をされるのは、ほぼすべて首都高(自動車専用道路)と高速道路における、超過80キロ以上のケースでした(一般道ではもっと低い超過速度でも公判請求される)。 「主文。被告人を懲役3月に処する。この裁判が確定した日から2年間、その刑の執行を猶予する」 別件で執行猶予中など特別な事情がない限り、超過80キロ台はこの主文がお決まりです。判決まで30分もかからないことすらあります。 懲役刑でも、執行猶予付きなら刑務所に収監されることはないから大丈夫だと思っていませんか? 実際は、懲役刑を受けると公務員なら失職、不動産業者はさまざまな資格が取り消しになり、医師は医業停止になることも。人生が狂いかねない、重い刑罰なのです。 ところが、そうとはつゆ知らず、たとえば60キロ制限の首都高を140キロ以上でかっ飛ばし、公判請求されて被告人となる人が少なくありません。「速度違反は金を払えば済む」となめていると、痛い目に遭うことでしょう。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年11月29日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 今井 亮一(いまい・りょういち) 交通ジャーナリスト 1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。傍聴した裁判は1万1000事件を超えた(2024年6月現在)。 ----------
交通ジャーナリスト 今井 亮一