電話を先に切るのは失礼…?【ビジネスマナー】見直すべき「謎ルール」と正しいマナー
「何のためのマナー?」と不要に感じることもある謎のビジネスマナー。時代の流れとともにマナーも変化をしています。そのため、そこまでやるのはやりすぎでは? というマナーが存在するようです。では、やりすぎと感じるマナーにはどんなものがあるのでしょうか。今回は違和感を感じる人が多い謎マナーについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。 【ビジネスマナー】見直すべき「謎ルール」と正しいマナーまとめはコチラ
職場の「謎ルール」「謎マナー」
元社長秘書のマナー講座】vol. 51 本来のマナーの意味は、ルールではなく相手への思いやりを表すことでお互いに心地よく過ごすためのものです。しかしながら、決められたルールのようにマナーが扱われてしまっているのが現状です。過剰な情報が伝わり、実は間違って認識されてしまっている場合もあります。特にビジネスマナーの中では「本当にやる必要ある?」など、ビジネスマナーに疑問を感じた経験があるかたも多いのではないでしょうか? 今回は、「やりすぎでは?」と違和感を感じている人が多い謎マナーについてご紹介します。
やりすぎ謎マナー
1. 相手が見えなくなるまで頭を下げ続ける 店舗や宿泊施設を利用した際、スタッフのかたから深々と頭を下げ続けたお見送りを受けた経験があるというかたも少なくないかと思います。本来、相手が見えなくなるまで頭を下げ続ける場面としては、「最期のお見送り」となる出棺の場合などの対応があります。シーンや施設によってルールが異なる場合もありますが、通常のお見送りなどの場合には普通のお辞儀同様、頭を上げて最後は顔を見せての対応がオススメです。 2. 厳しすぎるお辞儀の角度 会社によっては、最敬礼のお辞儀がルールのところもあるようです。最敬礼は、心からの謝罪や感謝など、強い気持ちを相手に伝えたいときに使用するものであり、訪問先での挨拶や上司とすれ違った時に最敬礼をするのはやりすぎかもしれません。 お辞儀には一般的に5つの種類があります。 0度:目礼 目を伏せるだけのお辞儀 15度:会釈 挨拶を交わす時の軽いお辞儀 30度:敬礼 一般的なお辞儀 45~60度:最敬礼 感謝や謝罪で行うお辞儀 90度:拝 相手を敬う気持ちを最大限に表現した深いお辞儀 使い分けができることは社会人として教養のあるかただという認識にも繋がりますが、大事なのは、お辞儀の角度ではなく相手を敬う気持ちや感謝の気持ちです。 3. 名刺の取り扱い方 少し前にSNSで話題となった「アルミの名刺ケース」がマナー違反に当たるという名刺の取り扱い方の謎マナー。言い分としては、お客様の分身である名刺を冷たいアルミケースに入れるのが不当であるためマナー違反に当たるのではないかという議論です。こちらに関しても、状況によって変化するものですが、決してアルミケースに入れるのが不当とは限りません。そうだとしたら、アルミケースの名刺入れを作ることがおかしいという事態になってしまいます。名刺入れのどの素材が良いか悪いかの判断ではなく、名刺の受け取り方や渡し方、名刺を清潔に取り扱っているかの方が重要です。 4. 相手が電話を切るのを待ち続ける 電話で、お互いに相手が切るのを待つあまり会話の後に間ができたという経験はないでしょうか。相手より先に切るのは失礼である、と思っているかたも少なくないかと思います。一般的なビジネスマナーとしては、かけた側が先に切ります。受けた側は、相手からの要件が終わったことを確認してから切るのがマナーとなっております。しかし、お互いに待ってしまうようであれば、受け手の場合でも「失礼いたします」と、ひとこと添えてから切っても問題ありません。 5. 「させていただく」症候群 日常やビジネスシーンで「~させていただきます」という言葉に違和感を感じたことはありませんか。会話でもメールでも、「させていただく」という言葉遣いをして過剰に対応をしている可能性があります。へりくだった印象があるので、つい、使ってしまいがちですが、丁寧にしているつもりで使い過ぎると過剰なへりくだりにも聞こえて、かえって謙虚さがなくなってしまう場合があるため注意が必要です。 文化庁の「敬語の指針」によれば、「させていただく」は以下2つの条件を満たす場合に使用するのが正しいとされています。 1. 相手側又は第三者の許可を受けての行動 2. そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合 上記を踏まえて、例をご紹介します。 誤:詳細をご確認させていただき、お電話させていただきます 正:詳細を確認し、お電話させていただきます 「させていただく」の本当の使い方を理解して、使い方を注意したり乱用したりしないように気をつけましょう。