若年層を中心に支持が広がるアジアファッション市場の可能性 「60%」に聞く
ー今、60%で売れているブランドは? 松岡:突出して売れているブランドがないんです。TOP30~40の売り上げにあまり差がなく、どのブランドにも等しく機会があるのが「60%」の1番大きな特徴だと思っています。 真部:売上の8割程度を1ブランドが占めているECは多いですが、うちは1位のブランドでも全体の1%程度。かなりロングテール*なんです。 *ロングテール:一部の売れ筋商品に依存せず、ニッチな商品を多く取り扱うことで、それらの売上の集積が全体の売上を構築している状態。 ーUIは一見シンプルに見えます。 真部:UIもしっかりこだわっています。ファッションの会社だと思われがちですが、ちゃんと技術力もあって、ソフトウェアとしてモダンなものを作ってる会社かなと。アプリケーションや物流や倉庫システムも全て内製ですし、ユーザーの趣味趣向に合わせたレコメンデーションも徐々に始めています。どういうブランドやアイテムが売れるのかを自分たちで科学していく土台を整えている点も強みです。 松岡:商品ラインナップはストリートからガーリー系まで幅広いんですが、その分、来訪したお客さんの動線も細分化しています。ストア内に、ハイエンドブランドを集約した「レベリー(Levely)」、現地のトレンドを押さえた普段使いできるブランドや商品を集めた「デイリー(Daily)」、小物や雑貨などを揃える「グッズ(Goods)」といったブランドのテイストやカテゴリー別の「エリア」を設けています。ストリートブランドを中心に、カジュアル、デザイナーズ、ライフスタイルブランドまで、幅広いラインナップを提供していますが、迷わず自分たちの欲しい商品にとたどり着けるようになっています。 ー具体的にはどのようなシステムを内製しているんですか? 真部:「Eコマースの体験」というのは使い慣れたサービスも多く、成熟していると思います。そこに無理に斜め上の新機能を導入するのは自己満足なんじゃないかなと。車輪の再発明はしたくないので、基本は王道に使いやすい機能を追求しています。どちらかというと「60%」の優位性は倉庫や物流といったオペレーションで、裏側の機能を自社で全て管理できるようにすることで信頼性の高い配送体制を構築しています。ほとんどの商品が海外からの配送なので、荷物の紛失が仮に起きたとしても全てこちらで把握できますし、配送にかかる日数を0.1日単位で改善できます。UI設計に関しても自分たちでソフトウェアを作っているからこそ、ボタン1つの配置まで細かくPDCAを回して改善することができています。 ー自社で物流システムを開発しながらも倉庫は持たないとのことですが、どのような物流システムを採用していますか? 真部:マーケットプレイス型のように、ブランド自身が発送を行っていますが、物流には独自のオペレーションを取り入れています。詳細は非公開ですが、一般的なマーケットプレイス型にモール型のような要素をミックスしているイメージです。