夫に先立たれて、娘とも疎遠。“もしもの時”が不安です。娘には迷惑をかけたくないのですが「終活」を手伝ってくれるサービスはありますか?
民間による多彩な終活サービス
終活を1つのビジネスチャンスと考え、動き出している民間企業は増える傾向です。さまざまな業種の企業が、その得意分野を生かしつつ、新たなビジネスモデルを構築し、ニーズに応えようとしています。 自治体が行うサービスに比べ、民間としての知恵を生かし、細かいニーズにも対応しようとする工夫も見られます。ただし公的サービスと比較して、事業として展開するため、その分の経費はやや高くなります。 例えば、相続対策に絞って力を入れている企業はかなりあります。これまでは、資産管理や遺言状は、主に信託銀行が担当する分野でしたが、どうしても敷居が高い、高額の費用が発生しそう、といった印象がありました。そのため、気軽に相談できることをセールスポイントに、多くの企業が参入しています。 利用する立場で考えると、一人暮らしの方はもちろん、定年退職した夫婦で「子どもに迷惑をかけたくない」として相談、その後に契約する方も多くなっています。 具体的なサービスには、葬儀や納骨の業者選定とその手配、電気料金など公共料金の解約と精算、家財道具の仕分けと処分などを実施するだけでなく、相続に特化して相続税の計算から税理士の紹介など広域にわたっています。 その方の金融資産、不動産の所有状況など、必要項目をネットで入力するだけで、相続税額が表示されるシステムもあります。選べるメニューもいくつかあり、依頼者のニーズに応じて選ぶことができます。選び方にもよりますが、料金としては50~120万円程度が目安になります。 納骨や墓地に関する情報を提供する企業もあります。全国の霊園・墓地の募集情報だけでなく、通常お墓が不要な方に向けて、納骨堂や樹木葬に関する募集情報をネットで無料公開しています。 埋葬方法ごとに空き情報がわかり、それと同時に、埋葬料金の情報提供があります。他人に埋葬方法を委ねるのではなく、自分の希望に即した方法を、生前に決めることができます。 例えば、遺言状にその旨記載しておけば、遺族にとっても悩む必要はなくなるはずです。納骨に関する経費は、霊園や寺院との個々の契約となり、情報提供企業への支払いはありません。 今後とも一人暮らしの高齢者は確実に増えるため、こうした民間による終活サービスは増加していくと思われます。 執筆者:黒木達也 経済ジャーナリスト 監修:中嶋正廣 行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者
ファイナンシャルフィールド編集部