〈兵庫県知事選〉斎藤前知事、猛追の背景に「当選を目指さない」NHK党・立花氏との“二人三脚”…異例の選挙戦は「割れる自民票」がカギに
斎藤、立花両氏の“二人三脚”で稲村氏に数ポイント差まで肉薄
兵庫県の関係者はこう語る。 「Aさんのパソコンにあった個人情報は違法行為を示すものではありませんが、他人に知られたくない内容だったようです。当時の県幹部は告発内容とは無関係のこの情報を県議らに知らせてAさんを貶め、『こんな人間の言うことは信用できない』と印象づけようとしたとみられます。そのため情報の中身は、百条委もメディアも触れてきませんでした。 しかし立花氏は候補者としての街頭演説で、“個人情報の内容”とするものを公言しながら告発文書を「名誉棄損のビラ」と呼び、ネットで発信しています。これにより、『Aさんはこれが公になりそうなら自分は闘えない、と県議らに訴えたのに、斎藤知事を引きずり降ろすチャンスだとみた反斎藤派が相手にしなかったので自死を選んだ』という見方と、斎藤知事は悪くない、という受け止めがネットで一気に広がったのです」(兵庫県関係者) 立花氏は斎藤氏の演説の直後に同じ場所で演説を行なうことを繰り返している。演説会に来た50代の女性は「斎藤さんが立場もあって言えないことを立花さんが代わりに言ってくれるから両方を聴きに来たの」と話した。 「立花氏が言う個人情報の“内容”は当然県当局が確認したものではありません。個人情報だからです。しかし、『マスコミや県議会の側に問題があるのに報道に騙された』と考え始めた人は、当局が確認しないことも不審の目で見るようになっています。 斎藤、立花両氏の“二人三脚”の効果は絶大で、報道各社の世論調査では、斎藤氏は稲村氏に数ポイント差まで肉薄しています。斎藤陣営は上げ潮で、逆転する可能性はあるでしょう」(県政界筋)
“斎藤氏はそもそも選挙に出る資格がない”と抗議する人が演説会に
地元記者は選挙戦についてこう話す。 「13日に神戸市で行われた斎藤氏の演説には500人超が集まったとみられます。ただ、斎藤氏の演説に通行人が足を止めて加わることは少なく、聴衆の規模は不自然なほど最初から最後まであまり変わりません。演説日程をSNSで知り、足を運ぶ人が多いようです。多くの場合、その後に現れる立花氏の演説を聞いた聴衆は立花氏に記念撮影やサインを求め、長い列ができます。 一方、県議を2期、尼崎市長を3期務めた稲村氏は演説が巧みで、聴衆の規模は斎藤氏よりかなり少ないですが、演説を聞く人がだんだん増えてくるのが特徴です。通りがかりで話を聞いてみようと思う人が多いようです」 他方、SNSやYouTubeでは斎藤氏の支持者や立花氏の発信が圧倒的に多い。「私たちはネットはよく分かりません」と候補者本人も言う稲村陣営も巻き返しを図るが、11月12日にはXの応援アカウントが立ち上げた直後に凍結された。陣営関係者は「アカウントに問題があるという大規模な通報が行なわれたとみられます」と話す。 ただ、ネットを強力な武器にしていた斎藤陣営にも逆風が。 「“斎藤氏はそもそも選挙に出る資格がない”と抗議する人が、斎藤氏を非難するプラカードを持ち演説会へ行く光景も現れています。その場でこうした人に集会の聴衆の一部が暴行を加え、現行犯逮捕された場面、とする動画が拡散しています」(地元記者)