BCG流「企業向け生成AI」活用5つのポイント、AI×日本の強みとは?
ポイント4 トラスト(信頼)を確立する
AIを安全かつ適切に利用・運用するためには、従来の情報セキュリティのガイドラインや仕組みだけでは不十分である。特に生成AIは社会的な影響が大きいだけに、法規制などにも注意を払わなくてはならない。 データのライフサイクル全体(生み出されてから消去されるまで)を管理するとともに、生成された情報やコンテンツの利用についても責任を持てるように企業として情報管理レベルを引き上げ、ELSI(倫理的、法的、社会的な課題)の観点から常に社内のポリシー、ガイドライン、運用方法を見直していくことが求められる。
ポイント5 技術を見極める
生成AIで先行するオープンAIや、マイクロソフト、グーグル、アマゾンなどプラットフォーマー企業が生成AIサービスをクラウド経由で提供している。最初の一歩として、ひとまずはこういったサービスを試してみればよいと考えている企業が多いかもしれないが、技術の進化は速く、世界中のスタートアップやテクノロジー企業がさまざまなソリューションを生み出している。 主要なソリューションのうちどれを選択するか。今すぐ始めるのか、ソリューションが成熟するまで待つのか。基盤モデルは自社で持つか。複数部署でどのように利用するか。重要データを活用する際のセキュリティやアーキテクチャをどうするか。ベンダーロックイン(システムの開発や保守を特定のベンダーに依存してしまい、他社製品への切り替えが難しくなること)は大丈夫か……このように、技術面の検討項目は非常に多い。 基本的な考え方は、自社にとって重要な戦略領域に関しては積極的に投資を行い、それ以外については戦略的に外部を活用することだ。また、どの会社でも扱う汎用的な業務については、自社で開発するよりも、良いソリューションが出てきた段階で導入すればよい。全体のコストインパクトのシミュレーションを行い、最適な技術ソリューションを適用領域、タイミングに合わせて選択し、将来的な変更や拡張性を担保する必要がある。