赤楚衛二の仕事論「壁にぶつかって悩んだほうが人として分厚くなれる」
思い出のトリガーとなる香りは「柔軟剤」?
本編には、赤楚演じる湊が「思い出の花の香り」について想いを馳せるシーンがある。湊の家族にまつわる印象的な場面にちなみ、香りをトリガーに思い出す記憶はあるかを聞くと「実は『これ!』っていう香りがあるんですけど……」と少しはにかみながら教えてくれる。 「でも、何の香りなのかは分からないんですよ。街を歩いているときに、たまに香ってくる……あれは香水か柔軟剤なのかな? それを嗅ぐと、急に過去の記憶がブワッとフラッシュバックするんですよね。でも、街中だと『すみません、それ何の香りですか?』って確認できないじゃないですか。すっごくもどかしいんですよね」 いきなり人に話しかけたら、ちょっと変態みたいじゃないですか、と茶目っけも見せてくれる赤楚。予期せず喚起される記憶は、過去の幸福な思い出に基づくものか、それとも……。いつだって気さくでオープンな彼だが、大事なテリトリーはしっかり保護する誠実さもある。赤楚衛二にとっての幸せの源を少しでも探りたく、問いを重ねる。何があれば、彼の幸せは保たれるのか? 「なんだろう……いやでも、衣食住と健康じゃないですか? それさえあれば十分というか、それ以外は求めてないです。この業界でお仕事をさせてもらって、今回のような作品づくりに携わらせてもらえていることも、幸せですし。観た方が楽しんでくださったら、さらに嬉しいです」 『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(2023/TBS系列)や『こっち向いてよ向井くん』(2023/日テレ系列)では、真面目で熱心な青年や、恋愛に奥手な若者の姿を体現してみせた赤楚。映画界隈でも活躍が著しく、Netflix『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(2023)で主演を務めたことも話題となった。人気俳優として理想的な街道を突っ走っている赤楚衛二でも、仕事のモチベーションは「ファンの方に喜んでもらうこと」と一貫している。 「ファンの方から出演した作品への感想をいただけると、よかった~これからもがんばろう! って思います。やっぱり作品は、観てもらうことで完成するんだな、と。作品によっていただける感想や言葉は違ってきますし、毎回、どんな声も新鮮に受け止められるんですよね。もちろん、作品に限らず、僕自身のことも褒めてもらえたらテンション上がりますよ!(笑)」 写真撮影中には「カッコいい!」「素敵!」など、スタッフから自然と声があがることも多いだろう。赤楚自身は「普段はあんまり言われないから、嬉しいです」と謙虚な姿勢だ。