49歳長女が激怒した…父が残した「長男びいき」の遺言書を逆手に取った「復讐の全容」
半年前に父を亡くした里香さん(49歳、仮名=以下同)は小さい頃から、兄との扱いの違いに悩んできた。長男・貴之さんは父の期待を一身に受け、教育費をつぎ込んでもらい、有名私大に合格。一方、里香さんは母のパート代と奨学金のおかげでなんとか国立大学に進学した。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” その後、月日は流れ、ついに父は帰らぬ人に。残された遺言書を見て、里香さんは愕然する。なぜなら、 ・会社の株式や会社への貸付金は、会社の役員である貴之さんに全て相続させる ・自宅は、貴之さんの持ち分が9/10、里香さんの持ち分が1/10として、共有で相続することとし、売却して分けてほしい と、またしても「長男びいき」が強い内容だったからだ。しかし、彼女はこの遺言書のある点に注目し、兄に復讐を果たすことにしたーー。ベンチャーサポート相続税理士法人に所属する税理士の高山弥生さんが、事例をもとに解説する。 【この記事の登場人物】 父:山田 拓郎(享年83歳) 母:幸子(25年前に他界) 長男:貴之(53歳) 私立の中高一貫校、理系の私立大学へ進学。学費の全額を父の事業収入から工面。 長女:里香(49歳) 公立の中学、高校、地方の国立大学へ進学。学費は奨学金と母のパート代でやりくり。
「小規模宅地等の特例」で相続税額は変わる
先日、貴之さんが相続税申告を依頼していた税理士から、相続税の計算が終わったので報告をしたいと連絡がありました。税理士との打ち合わせで、貴之さんは渡された納付書を見て驚愕しました。相続税がこんなにかかると思っていなかったのです。 ・拓郎さんの財産 ・自宅の土地 4,000万円(面積120平方メートル) ・自宅の建物 3,000万円 ・会社の株式 3,000万円 ・会社への貸付金 1,500万円 【計算例1】「小規模宅地等の特例」を適用する場合の相続税額 ・土地の評価額から減額できる金額:4,000万円×80%=3,200万円 ・特例適用後の土地の評価額:4,000万円-3,200万円=800万円 ・正味の遺産額:800万円+3,000万円+3,000万円+1,500万円=8,300万円 ・相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円 8,300万円-4,200万円=4,100万円(課税遺産総額) 4,100万円×1/2=2,050万円 2,050万円×15%-50万円=257万5,000円 ……相続税の総額:257万5,000円×2=515万円 【計算例2】「小規模宅地等の特例」を適用しない場合の相続税額 ・正味の遺産額:4,000万円+3,000万円+3,000万円+1,500万円=1億1,500万円 ・相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円 1億1,500万円-4,200万円=7,300万円(課税遺産総額) 7,300万円×1/2=3,650万円 3,650万円×20%-200万円=530万円 ……相続税の総額:530万円×2=1,060万円