レンジローバー・スポーツ 詳細データテスト 増した円熟味 影を潜めたダイレクト感とシャープな走り
各ギアの最高速
1速:53.1km/h(7200rpm) 2速:82.1km/h(7200rpm) 3速:132.0km/h(7200rpm) 4速:169.0km/h(7200rpm) 5速:223.7km/h(7200rpm) 6速:289.7km/h(7188rpm) 7速:289.7km/h(5966rpm) 8速(公称値):290.0km/h(4600rpm) 8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1789rpm/2045rpm
結論 ★★★★★★★☆☆☆
新型レンジローバー・スポーツが目指したものをすべて考えると、さらに先代モデルがどうだったかをすべて思い起こすと、判断が難しいのは、この新しい洗練されたパフォーマンスSUVがもう少し成熟すればより好ましいものになるのか、という点だ。 先代SVRは結局のところ、紛れもなく笑いをもたらしてくれるクルマだった。しかし新型SVは、SVRのファンな要素をだいぶ犠牲にしている。また、よりスマートな外観とより熟成されさまざまな走りを可能にするなかで、ダイレクトさは目減りしたが、そのかなり高額な価格設定の正当化を多面的に図っている。 では、それがうまくいくほど魅力的だろうかというと、われわれは自信が持てない。もちろん、いいところもあるのだが。 SVモードは、このクルマのらしさを発揮させる。シャシーには、コーナーでのパワーオンで多少の角度がつくことを許容し、その走りを高めるスポーティなバランスももたらす。 しかしほかの面では、17万1460ポンド(約3292万円)もの価格に見合うほど並外れたクルマだと納得させるのには、バーサタイル性やラグジュアリーさを追いかけすぎた感がある。 スーパーSUVの購買層が、徹底したマッドさよりも成熟度の高さに価値を見出すようになるかは、時が経ってみなければわからない。もしそうなれば、このクルマの評価は違うものになるだろう。 ■担当テスターのアドバイス ◆マット・ソーンダース 一般的にカーボンボンネットは好みではないが、SVのそれは称賛すべき例外だ。深い艶のある仕上げは、運転席からだと空が映り込んで見えるが、近くに寄るたびにカーボンの織り目を再確認できて新鮮な気持ちを味わえる。 ◆リチャード・レーン シフトセレクターのセラミック仕上げは、SVにマテリアルのアピールを加えようと狙ったものだが、改善するべきはそこではなく、手応えのなさだ。この手のクルマのシフトレバーには、しっかりした感触がほしい。 ■オプション追加のアドバイス セレストリアルコレクションを選ぶなら、ボディカラーの明るいヴェガかソルがおすすめ。1285ポンド(約25万円)の4ゾーンエアコンと、7000ポンド(約134万円)のカーボンセラミックブレーキ、6900ポンド(約132万円)のカーボンホイールを追加したい。高価なオプションだが、毒を食らわば皿まで、だ。 ■改善してほしいポイント ・ロールスタビリティコントロールは、もっと賢くしてほしい。さもなければ、介入をもっと抑えてもらいたい。 ・荒れた道を走る際のセカンダリーライドに関して、ダンピングの調整をもっと磨いてほしい。 ・先代SVRのような、ルックスをアグレッシブに仕立てるエアロキットを用意してもらいたい。
マット・ソーンダース(執筆) リチャード・レーン(執筆) マックス・エドレストン(撮影) 関耕一郎(翻訳)