今期の政策株売却目標、1500億円上積み達成目指す 東京海上HDの小宮暁社長
東京海上ホールディングス(HD)の小宮暁社長は5日までに産経新聞のインタビューに応じた。共同保険のカルテルで問題となった取引先企業との間で相互に株を持ち合う「政策保有株」の売却に関して、2025年3月期の年間目標6千億円を1500億円上積みし、7500億円を目指す方針を明らかにした。売却で得た資金は防災・減災事業など成長分野への投資に回す。 東京海上HDは24年3月末時点で時価ベースで3兆5千億円の政策保有株を3年間で半減、30年3月末でゼロにする方針だ。 このうち今期想定していた6千億円の売却について、小宮氏は「上半期(24年4~9月期)でほぼ達成できた」と述べた。取引先企業との合意の上で目標を7500億円に引き上げ、売却をさらに加速する。 防災・減災事業では、24年11月に買収を発表した建設コンサルティングのID&Eホールディングスのノウハウを活用する。ここ数年行っていない海外企業も含めた大規模なM&A(企業の合併・買収)についても「チャンスがあればやっていく」と意欲を見せた。 一方、23年以降の不祥事で問題となった代理店との関係については「代理店と損保会社がそれぞれの役割を果たし、顧客に正しい価値提供をすることが全てだ」と強調。東京海上HDが求める役割を果たせないと判断した代理店に対しては、一部業務を引き取る代わりに、支払う手数料を引き下げることも示唆した。(永田岳彦)