ビットコイン上昇は終わり? 反落でも強気を保つべき理由
マクロの乱気流に抗う
ここ数週間、暗号資産市場の勢いは衰えたが、最終的に4月12日に反落のきっかけとなったのは、マクロイベントだった。 伝統的市場はイスラエルとイランの軍事的エスカレーションへの懸念の高まりで神経質になり、債券利回りと米ドルは、堅調な米経済のデータと粘着性の強いインフレへの懸念の高まりのなか、投資家が利下げの見込みを価格に織り込まなくなったことで急上昇した。 マクロアナリストでニュースレター『Crypto Is Macro Now』の筆者であるノエル・アチェソン氏は、S&P500の収益利回りが3カ月物および10年物米国債の利回りを下回っていることを指摘し、米国株のさらなる下落を予感させる可能性があると述べた。債券よりも株式を保有することのリスクの高さを埋め合わせるために、この関係は逆になるべきだとアチェソン氏は説明する。 「(株式市場が)急落すれば、ビットコインや他の暗号資産も一時的に打撃を受ける可能性がある」とアチェソン氏。しかし、「現在進行中の他のストーリー(価値の保存手段、半減期、通貨ヘッジ、新たなユースケース、普及の拡大)により、低レベルでの蓄積が促されるため、暗号資産の下落は短期間で終わるだろう」と続けた。 アチェソン氏によれば、最近リスク資産を圧迫している利回り上昇を緩和するような良いニュースが短期的に出る可能性はあるが、その可能性はあまり高くない。 「米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げが間近に迫っているとの主張に戻る可能性があり、そうなれば利回りの上昇を和らげるはずだ。私はこのような事態は想定していないが、もしそうなれば、リスク資産は好調に推移するだろう」と、アチェソン氏は語った。
レバレッジの一掃
デリバティブ市場における大規模な清算イベントは、しばしば資産価格の底を示し、過剰なレバレッジを一掃し、市場から陶酔感を洗い流す。暗号資産市場は、12日と13日を合わせて15億ドル(約2250億円、1ドル150円換算)以上の強気ポジションを清算し、極めて残酷なレバレッジ一掃に耐えた。 「現在、市場ははるかに健全化している」と、K33リサーチ(K33 Research)のシニアマーケットアナリスト、ヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は語り、「建玉も資金調達率も大幅に減少し、清算が連鎖する可能性が低くなった。このことは、ビットコインが6万ドル以上を堅持していることと合わせて、強力なシグナルだ」と続けた。 これらの出来事は、ビットコインが2万8000ドル~2万4000ドル近くまで急落し、すべての暗号資産で10億ドル近い清算が行われた昨年8月を彷彿とさせる。FTX破綻を受けた暴落以来最大の1日あたりの下落幅の後、10月に3万ドルを上回り、はるかに高い価格にブレイクアウトするまで、価格はほぼ2カ月間、非常に低調なレンジで推移した。