相次ぐ更迭、目玉政策も外交も手詰まり トランプ政権 発足半年で末期的?
おまけに、新たに広報部長に抜擢されたスカラムッチ氏は、就任早々、プリーバス氏やバノン氏を痛烈に批判する有り様。スパイサー氏が辞任を申し出た背景にはスカラムッチ氏に対する拒絶感があったとされる。と、ここまで書いたところで、スカラムッチ氏が更迭されたとの一方が飛び込んできた。就任からわずか10日だ……。 前回指摘したように、以前からホワイトハウスでは ・親族系(娘イヴァンカ補佐官、娘婿クシュナー上級顧問) ・共和党系(ペンス副大統領、スパイサー氏、プリーバス氏) ・反エスタブリッシュメント系(ミラー補佐官、バノン氏) の3つの勢力間の権力闘争が激しかったが、ここにきて一層カオス感が濃くなっている。 今回、スパイサー氏とプリーバス氏がホワイトハウスを去ったことで共和党系の影響力が弱まることが予想される一方、クシュナー氏にはロシアゲートの影が見え隠れしており、かといってバノン氏では共和党との関係構築は難しい。 こうした中、一部では、ペンス氏が「合衆国憲法修正25条第4節」に訴えるのではとの憶測すら飛び交い始めている。同節は副大統領と閣僚の過半数が「大統領は職務の遂行が不可能」と判断すれば更迭できると定めている。いわば合法的なクーデターだ。もっとも大統領には不服申し立てが認められており、それを覆すには上下両院の3分の2の賛同が必要だ。いまだ9割近くが支持しているとのデータもあるコアなトランプ支持者からの反発を考えると、政治的観点からも、現時点では考えにくい(過去に発動されたことは一度もない)が、こうした悲鳴が共和党内からも挙がっているのは異常事態としか言いようがない。当面はプリーバス氏の後任で軍人出身のケリー氏(国土安全保障長官から横滑り)が首席補佐官(日本の官房長官に相当)としてどこまで政権の立て直しができるかが鍵だが、手腕は未知数だ。 最近では、トランプ氏やクシュナー氏のみならず、ペンス氏やバノン氏らも自らの弁護士を強化している。 いざという時の保身のためだろうが、それほどまでにホワイトハウスのメルトダウンが進んでいるということだろう。