ヘルシーで調理もラクラク!今年売り上げが倍増している「中華せいろ」
蒸し料理の人気で、中華せいろがブームに
都市生活研究所が2015年2月に発信した「都市生活レポート」の「蒸し調理に関する研究」によると、鶏もも肉を調理する際、茹でるより蒸し器のほうが短時間、低コストだった。電子レンジの場合、急激に温度が上がる。私は時短にしようと思ってカットしたニンジンを電子レンジで下茹ですると、適切なW数と秒数がわからないこともあり、水分が抜け過ぎシナシナになることがよくあった。 ようやく本題だが、そんな中華せいろが最近、ブームになっているらしい。クックパッドの食の検索データサービス「たべみる」によると、「せいろ」のキーワードで検索した人の割合が、2022年に上がり始め、去年と今年に急上昇している。2023年は2022年の2.5倍、2024年は2022年の4・5倍にもなっているのだ。静岡県の家庭用品店、三保原屋のnote記事「セイロ人気の裏で、国産メーカーさんが”残りわずか“という話」(2024年4月22日)によると、同店のせいろ販売数は2023年秋に例年の数倍に伸びたという。無印良品も、中華せいろを扱い始めた。ウー・ウェンの『蒸しものお粥』(高橋書店)ほか、中華せいろを使った蒸し料理のレシピ本も次々と販売され人気になっている。 中華せいろが流行る理由はわかる。何しろ、近年は蒸し料理が再発見するトレンドがくり返し来ているからだ。蒸し料理は手軽で失敗が少なく、時短で初心者もやりやすい。油を使わなくて済むのでヘルシー感があり、しかも油を使った後より後片づけしやすい。しっとりした仕上がりと野菜の色の鮮やかさも魅力的だ。 まず、2010年頃にシリコンスチーマーとタジン鍋がブームになった。2010年代終わり頃から台湾の電鍋のブームも来た。現地では、専用の穴が開いた蒸し皿を入れれば、下でコメを炊き、上で料理を蒸す並行調理ができる便利さのせいで、電子レンジが売れないそうだ。並行調理は、ときどき出てくる炊飯器レシピ本でも紹介される。蒸す魅力→並行調理、とくれば、扱いやすい中華せいろに目が向くのは自然な流れと言える。 先の蒸し料理の魅力に加え、せいろの場合、2段、3段は重ねて使えるので、並行調理も可能。そして、蒸し器ほどには場所を取らない。中華せいろが流行するのは時代に合っているからとわかる。 注意点としては、木や竹を使った道具なので、しっかり乾かす必要があること。フックに引っかけてキッチンに置いておけば、カビる心配もない。料理する際、さらしやクッキングペーパーなどを敷いて使えば汚れもつきにくい。ダイソーには洗ってくり返し使えるネット状の蒸し布も売っているそうだ。表面をコーティングしたクッキングシートは水分を通しにくいので、せいろとシートの間にすき間を開けるとよい。2段以上に重ねる場合は、汁が垂れて下の食材を汚したくない肉や魚は下段に、上に野菜を入れる。洗う際は洗剤を使わないほうがよい。食洗機に入れるのはNGだ。 そういえば最近、「蒸したほうがおいしい」料理情報がよく口コミで回って来る。トウモロコシや枝豆といった夏食材はそろそろ終わりだが、これからがおいしいいも類、カボチャは蒸すのに向いている。塩をかけてから蒸すとそのまま食べられるし、ソースやタレを作る、あるいは市販のタレ、ドレッシングなどをかけて好みの味にすることもできる。ぜひ、あなたもお好きな蒸し料理、中華せいろで作ってみませんか?