うどん幅約幅8センチの歯ごたえがクセになる 「手打ちうどん 長木屋」 埼玉・鴻巣市 ビバ!続・うどん共和国
埼玉県鴻巣市は市内に流れる荒川の川幅が日本一広い(2537メートル)ことにちなみ、市内のうどん・そば店で提供されている名物が「川幅うどん」だ。長木屋のものは、三代目店主の田沼寛章(ひろあき)さん(59)いわく「ちょっと食べづらいが面白いんですよ」という絶妙の幅が特徴。歯応えがクセになり、何度も食べたくなる一品だ。三代目から始めたうどんを打つ場所を店外からも見えるようにしてある、独特の打ちをみられて楽しい。 同店の川幅うどんの種類は3種類。ここはオーソドックな「川幅彩(いろどり)うどん」(990円)にする。温と冷があるが、より弾力が楽しめるだろうと思い、冷の方を注文した。 田沼さんによれば、こちらの川幅うどんの幅は、約幅8センチ。はしでゆっくり持ち上げて口に入れる。口に入るが噛まなければならない絶妙の幅。かみ切るごとに小麦粉のうまみが、「配合と味は1代目から変えてない」というだしにからみ口の中に広がる。幅が広いからといって、きしめんとは全く違う食感なのだ。 ■茹でるともちもち感 後日、手打ちの様子を開店前に行き見せていただいた。使っている粉は、北海道産の地粉「道産子U」で、「茹でるともちもち感が出るのが特徴」という。 こねた小麦粉の玉を、うどんにしていく工程がおもしろい。天井から吊(つ)った留め具に麺棒を横にかけ、伸ばしたうどんの玉を布団のように垂らしから、ばらしていく。 「うどんの長さが一定になるので」と田沼さん。作業の見栄えも、味わいにプラスされる感覚になる。 取材した日は寒く、周囲の注文に耳を澄ますと、年配者は鍋焼きうどん(1210円)を注文する人が多かった。川幅うどんとともに記者は鍋焼きうどんも注文した。テーブルに運ばれた鍋の蓋を開けると、ぐつぐつ音を立てて食欲をそそる。たいていの店は水分を吸いうどんが柔らかくなるが、長木屋さんのものは食べ終わるまでずっと弾力があり、歯応えのあるうどんが好みの記者には好みだ。 うどん以外のおつまみも充実している。野菜天盛り合わせ(638円)など通常メニューのほか、ホワイトボードに、その日のおすすめも掲示している。鴨もも串焼き(510円)を注文。味わいが鶏より濃厚でうまい。メニューが豊富で何度行っても新しい味わいを楽しめる店だ。(昌林龍一)