横浜DeNA“三浦番長野球”とは何か…OP戦白星発進に見えたラミ流継承と独自色
一方で三浦監督の独自色も見えた。 捕手の起用法はそのひとつ。昨年ラミレス監督は投手との相性を重視し、濱口に高城、平良に戸柱などのセット起用をして主に4人の捕手を使った。戸柱が95試合、嶺井が34試合、伊藤光が23試合、高城が21試合にマスクをかぶった。だが、三浦監督は投手との相性ではなく「状態のいい選手を使う」という方針に切り替えた。その競争のなかで、さっそくスタメン起用された嶺井が結果を出した。2回一死一、二塁のチャンスに昨年の奪三振王でパを代表する右腕の山本が低めに投じた153キロのストレートをバックスクリーン左に放り込んだのだ。 「積極的にいこうと。投手の速いボールに差し込まれないように早めに始動することを心掛けた」 捕手サバイバルの中で最高のスタートを切ったが、「競争?自分がやれることは限られている。自分が座ったときにいい結果を出してチームが勝てるように」と謙虚だった。 三浦監督も「このまま競争を続けてもらえれば」と言う。 さらに三浦監督が掲げるのが「1点を取りにいく野球」である。 追加点の欲しい7回一死から乙坂が四球で出塁すると、二盗を仕掛けて、捕手の送球ミスを誘い三塁へ進んだ。戸柱がセンター前へタイムリー。オリックスのアンダーハンドのドラフト4位のルーキー、中川颯は、クイックができていなかった。確率からも走らせるのは正解で、ミスを誘える可能性もあった。しかし、オープン戦ゆえに成功したとも言える。むしろ重要だったのは、5回一死一、三塁の場面だろう。一塁走者の神里が盗塁を試みてアウトになった。三浦監督は、「微妙だったから」と本番モードで監督初のリクエストを要求したが判定は覆らなかった。結果、田中俊もセカンドゴロに倒れて無得点。三塁走者が大和だったことを考えると、ダブルスチールなど何かベンチが策を講じても良かったケースである。三浦監督も、試合後、「一、三塁で何かをできたんじゃないか。反省点。1点を追加できるチームを目指していかなくてはいけない」と、このシーンをクローズアップしていた。昨年もラミレス監督は機動力を絡めようとしたがうまく機能してはいなかった。佐野、ソト、オースティンらの一発に頼る大味な野球から脱却できず接戦に強いとは言えなかった。ラミレス監督が、やりたくでもなかなかできなかった部分を三浦監督がプラスアルファにしたいと考えているのも理解できる。「1点を取りにいく野球」を“番長野球”の独自色に変えることができれば面白い。