イーロン・マスクと普通の人「家族観」の歴然の違い
この莫大な利益は、マスクにとって次なる挑戦への資金源となった。 マスクは金融サービス分野への進出を決意し、X.com(後にPayPalへと発展する企業)を立ち上げるための資金を確保した。マスクが結婚した2000年は、起業家としてのキャリアにおける重要な転換期であった。 ビジネスの充実ぶりと軌を一にして、マスクは学生時代から付き合っていたジャスティンと結婚する。 伝記『イーロン・マスク』(ウォルター・アイザックソン著、文藝春秋社)によると、2人の馴れ初めはこうだ。 学生時代、ジャスティンにはマスクとは違うボーイフレンドがいた。アイスクリームを食べに行く約束をしたものの、ジャスティンはマスクとの約束をすっぽかした。 マスクは、ジャスティンの友だちにジャスティンの好みのアイスクリーム(バニラチョコチップ)を聞き出して購入し、キャンパス中を探し歩いた。 学生センターでスペイン語の勉強をしているジャスティンをマスクが発見したのは、アイスがドロドロに溶けかけたころだった。「これがお気に入りらしいね」と無理やりジャスティンにアイスを渡したところから、ジャスティンにとっても気になる存在になったようだ。 ● マスクが最初の妻への告白で伝えた「ひと言」 マスクは、ジャスティンが付き合っているボーイフレンドが「くそやろうだって顔に書いてるようなものじゃないか」と感じ、付き合う相手を変えるべきだと説得を続け、猛アタックを繰り返した。「きみの心には炎が燃えている。きみは僕と同じなんだ」とひと言、付け足して……。 ジャスティンは、前掲書において当時を次のように振り返っている。 《「ほかの人と違い、金儲けの話をしないんです。自分は金持ちか極貧か、どちらかにしかならない、そのあいだはないと考えていたようです。いつも考えていたのは、解きたいと願う問題のことでした」 《女性をデートに誘うときも電気自動車を作るときも、強烈な意志をもって前進する姿に彼女は魅入られた》 《「そんなばかなと思う話でも、彼だと信じてしまうんです。彼自身が信じているからでしょう」》 (ウォルター・アイザックソン著『イーロン・マスク』)