収入は増えないのに物価は上昇し続ける…国民にだけ我慢を強いる自民党政権の「無責任」を許していいのか
■「過去最低」の労働分配率が指し示すこと そして、先に挙げた内部留保の資金は、本来なら従業員の賃金に上乗せして払うことも可能な「利益剰余金」ですが、それを賃金に回さずに貯め込むことで、結果として従業員の暮らしが「物価高で圧迫されている状況」を傍観し、放置しているとも言えます。 2024年9月6日付の朝日新聞は、「企業がもうけの中から人件費にどのくらい使ったかを示す『労働分配率』が、昨年度は大企業で過去最低の水準に落ちこんでいたことがわかった」と報じました。 記事は、国内企業の通期決算を集計した財務省の法人企業統計調査(2023年度)を元に同紙記者が分析した結果に基づく内容で、企業が生み出した付加価値に人件費が占める割合を「労働分配率」として算出したところ、金融・保険業を除く全産業では52.5パーセントとなり、1973年度の52.0パーセント以来の低さとなりました。 また、対象を資本金10億円以上の大企業に絞ると、34.7パーセントで、統計記録が始まった1960年以降で「過去最低」となりました。 企業の経常利益と内部留保は「過去最大」で、大企業の労働分配率は「過去最低」。 これは、何を意味しているのでしょうか? ---------- 山崎 雅弘(やまざき・まさひろ) 戦史・紛争史研究家 1967年大阪府生まれ。軍事面に加えて政治や民族、文化、宗教など、様々な角度から過去の戦争や紛争を分析・執筆。同様の手法で現代日本の政治問題を分析する原稿を、新聞、雑誌、ネット媒体に寄稿。著書に『[新版]中東戦争全史』『1937年の日本人』『中国共産党と人民解放軍』『「天皇機関説」事件』『歴史戦と思想戦』『沈黙の子どもたち』など多数。 ----------
戦史・紛争史研究家 山崎 雅弘