働くシニアが増加傾向。老後に働きすぎると年金が減るって本当?
長寿化が進む現代においては、年金受給が原則開始される65歳以降も、働くシニアが増加傾向にあります。 ◆【早見表】在職老齢年金によって年金はいくらカットされる?収入ごとにチェック 昨今、老後2000万円問題が大きな話題となったことから、年金以外の備えとして「老後も働く」ことを選択している人が多くなってきていますが、老後に働きすぎると年金が減ってしまうことをご存知でしょうか。 本記事では、総務省の最新データを用いながら現在のシニア世代の就業率を確認します。 さらに、年金が減ってしまう「在職老齢年金制度」について紹介していきます。 「なぜ働くシニアが増えているのか」「老後に働くと損なのか」なども考察しているので、あわせて参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
働くシニアが年々増加傾向に。なぜ今働くシニアが増えている?
総務省の最新データ「統計からみた我が国の高齢者」によると、65~69歳の52.0%、70~74歳の34.0%が働いており、「働くシニア」の割合が過去最高となっています。 現代においては、多くのシニアが就労を選択しており、「定年退職をしたら年金だけで悠々自適な老後生活を送る」という時代ではなくなっているのかもしれません。 以前よりも、シニアの就労率が増加している要因の一つとして、「年金額の目減り」が挙げられます。 2024年度の年金額改定においては、昨年度よりも2.7%の年金額引き上げとなりましたが、年金の増額率が物価上昇率に追いついておらず、実質年金は目減りとなっています。 ●年金だけで生活している高齢者世帯の割合は減少 実際に、厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は「41.7%」となりました。 昨年度の同調査では、年金だけで100%生活している世帯は全体の「44.0%」でした。 上記から、「年金だけでは生活が厳しい世帯」が年々増えており、結果として、多くのシニア世代が働くことを選ばざるを得ない状況になっていると考えられます。 長い老後生活を見据え、「働けるうちは働いて老後資金を残しておく」という選択は、一見メリットのように思えます。 しかし、実は就労で得た収入と年金額の合計によっては、年金がカットされる可能性があります。 次章にて、年金がカットされてしまう「在職老齢年金制度」について確認していきましょう。