働くシニアが増加傾向。老後に働きすぎると年金が減るって本当?
厚生年金に加入しながら老後も働くメリットとは?
前述したとおり、厚生年金に加入しながら老後も働く場合、労働収入と年金収入の合計額によっては年金がカットされてしまうというデメリットがあります。 上記から、「厚生年金に加入しながら老後も働くのは損なのでは?」と感じた方もいるでしょう。 結論からお伝えすると、厚生年金に加入しながら老後も働く場合、デメリットだけでなくメリットもあります。 まず、厚生年金保険に加入しながら老後も働き続ける場合は、働きながら「年金を増やす」ことができます。 これを「在職定時改定」と言い、65歳から70歳までの人が働きながら厚生年金保険料を納めた場合、毎年「10月」に年金額が改定されます。 年金を受給しながら老後も働き続ける場合、在職中は毎年1回、在職定時改定によって年金額が上乗せされるのは大きなメリットと言えるでしょう。 また、老後の収入源を「年金収入」と「老後収入」の2つから得られることは、老後の安心材料になり得ます。 老後2000万円問題が大きな話題となっている昨今、「年金だけで生活する世帯」は少なくなっています。 そのため、働ける間は働いて労働収入で生活費をカバーすることは、賢明な選択と言えるでしょう。 本記事でお伝えした「老後に厚生年金に加入して働くメリット・デメリット」をふまえ、ご自身の老後のライフプランを今一度見直してみてはいかがでしょうか。
将来的には在職老齢年金制度が廃止になる可能性も
本記事では、現在のシニア世代の就労率とともに、年金が減ってしまう「在職老齢年金制度」について紹介していきました。 働くシニアが増え続ける現代において、在職老齢年金が「シニアの働き控え」の要因となっています。 そのため政府は、65歳以降の「在職老齢年金制度」の見直しを検討する方針を示しました。 まだ詳細な内容は検討段階にあるため、在職老齢年金制度がどのように変わるのか、注目が集まっています。
参考資料
・総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」 ・日本年金機構「さ行 在職老齢年金」 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」 ・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」 ・内閣府「高齢社会対策大綱の策定のための検討会 報告書素案」 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」 ・厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」 ・日本年金機構「令和4年4月から在職定時改定制度が導入されました」
太田 彩子