働くシニアが増加傾向。老後に働きすぎると年金が減るって本当?
意外と知らない落とし穴!年金が減ってしまう「在職老齢年金制度」とは?
「在職老齢年金制度」とは、老後に年金を受け取りながら、厚生年金保険に加入して働き続ける場合、年金の一部または全額が支給停止になる制度を指します。 支給停止となるボーダーラインは、労働収入と年金収入の合計額によって決まり、この基準額を「支給停止調整額」といいます。 2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」であり、労働収入と年金収入の合計が50万円を超えた場合、年金が一部または全額カットされます。 支給停止となる具体的な年金額は下記の計算方法から算出できます。 在職老齢年金による調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2 「基本月額」とは、加給年金額を除いた厚生年金の月額で、「総報酬月額相当額」は直近1年の標準賞与額の12分の1の額を指します。 現行の制度では、労働収入が高ければ高いほど、年金額がカットされていく仕組みとなっていますが、具体的にどのくらいの労働収入になると年金が減ってしまうのでしょうか。 次章にて、カットされてしまう年金額のシミュレーションを見ていきましょう。
【早見表】在職老齢年金によって年金はいくらカットされる?
在職老齢年金制度による年金額の減額対象かどうかを判断するためのフローチャートは、以下の通りです。 たとえば、基本月額(年金月額)が15万円、総報酬月額相当額が30万円の場合、合計額は45万円となるため、年金は全額支給となります。 一方で、基本月額(年金月額)が15万円、総報酬月額相当額が36万円の場合、合計額が51万円となるため、年金から5000円が減額されます。 留意点として、在職老齢年金制度が適用となるのは「厚生年金保険に加入しながら働く年金受給者」となっています。 つまり、フリーランスや個人事業主など「厚生年金保険に加入せずに」老後も仕事を続ける場合は、在職老齢年金の適用を受けないため、あわせて覚えておけると良いでしょう。 では、老後に年金を受給しながら働く場合は、厚生年金に加入せずに働いたほうが良いのでしょうか。 次章にて、厚生年金に加入しながら老後も働くメリットを確認していきましょう。