レッドブル&HRC密着:コース特性に合わせ再びキャノンデッキ型カウルを投入。エンジンの使用温度領域の高いRB20に高温予報も好都合
レッドブルがF1第16戦イタリアGPで再び空力パッケージを元に戻してきた。 レッドブルは今シーズン開幕戦から採用してきたヘイローの付け根から後方に排熱用のダクトを備えたキャノンデッキ型のエンジンカウルをF1第13戦ハンガリーGPでやめ、マックス・フェルスタッペンのマシンだけ、キャノンデッキのないハイダウンフォース仕様のサイドポンツーンとエンジンカウルに仕様の変更を行った。 【写真】2024年F1第16戦イタリアGP キャノンデッキ型のエンジンカウルを使用したレッドブルRB20 その後、高速サーキットのスパ・フランコルシャンでの第14戦ベルギーGPで再びキャノンデッキ型で2台を走らせたレッドブルは、夏休み明け初戦の第15戦オランダGPには2台ともキャノンデッキのない、ハイダウンフォース仕様のサイドポンツーンとエンジンカウルで臨んだ。 つまり、レッドブルはハンガリーGP以降、ハイダウンフォースコースではキャノンデッキのない空力パッケージを走らせ、高速コースではキャノンデッキ型の空力パッケージを採用している。 エンジン周辺にあるルーバーは、冷却機能を高めるのには貢献するが、空力的にはルーバーはないほうがいい。ホンダに協力してもらってエンジンの使用温度領域を高くしたレッドブルは、キャノンデッキ型を採用してエンジン周辺のルーバーを極力なくすことに成功。これにより、車体表面を流れる空気がルーバーから出てくる空気に邪魔されることなく、後方へ流れることで空気抵抗を軽減させることに成功した。24戦中もっとも全開率が高い高速モンツァにキャノンデッキ型を使用するのは当然といえば、当然だった。 さらにレッドブルとホンダRBPTにとって朗報となっているのが、今週末のモンツァが例年になく高温で、連日最高気温が30度以上となるだろうと予報されていることだ。日曜日のレースが30度以上でスタートされれば、ホンダがF1に復帰した2015年以降で最も暑いコンディションとなる。 昨年から今年にかけて数度も使用温度領域を高くすることに成功したホンダ・レーシング(HRC)にとって、この暑いコンディションは願ってもない状況。通常の温度領域で走らせるほかのパワーユニットマニュファクチャラーが冷却用にカウルに設けているルーバーの数を増やせば増やすほど、カウル表面を流れる空気は乱れ、空力的にはデメリットとなるからだ。 初日フェルスタッペンはフリー走行1回目でトップタイムをマーク。フリー走行2回目では新品のソフトタイヤを履いてコースイン直後に、他車のアクシデントで赤旗が出されるという不運もあり、14番手に終わった。またチームメイトのセルジオ・ペレスはフリー走行1回目の後にギヤボックス交換を強いられ、長い間、ガレージにとどまり、RB20とホンダRBPTの本領を発揮することなく、初日は15番手でセッションを終えた。 土曜日に2台がどこまで挽回するか。チャンピオンシップ防衛のためには、予選で少しでもマクラーレンに近づかなければならない。 [オートスポーツweb 2024年08月31日]