緑色なのになぜ「黒板」と呼ぶの? 老舗メーカー「サカワ」に聞いた【会社のギモン】
【会社のギモン】サカワ そもそも、「黒板」って緑色なのにナゼ黒板って呼ぶのか? 大正8(1919)年創業の老舗黒板メーカー、サカワ(愛媛県東温市)の担当者がこう言う。 【写真】ロングセラー液体のり「アラビックヤマト」のヒントは台所道具? ヤマトに聞いた 「明治5(1872)年に開校した師範学校に米国人教師が持ち込んだのが『Black board』で、直訳すると黒板。これが1960年代に入り、漆器の技法を使った黒塗料が入手困難になったことや、目が疲れにくい、チョークの白文字が見やすいなどの理由で緑色が広まりました。日本産業規格(JIS)でも黒板は『黒色と有彩色』と規定されています」 緑色がすっかり定着してからも、黒板という名前だけが残ったというわけだ。 ここでギモンなのが、デジタル時代になぜ今も旧態依然とした黒板が使われているのか。 「導入コストと授業や教科書のデジタル化が追いついていないのです」(前出の担当者) そんな折、同社が開発したのが電子黒板「ワイード」だ。 すでに大阪府のすべての府立高校、愛媛県のすべての県立高校、港区と江戸川区の小中学校の全教室に導入されるなど、現時点で1万台近くを出荷している。ワイードとはどんな電子黒板なのか? 「近年、イベントなどで見かける建物に画像を投影するプロジェクションマッピングの原理を応用して、既存の黒板に映像を映し出すことができる日本初のアスペクト比16:6のプロジェクター式電子黒板です。あらかじめ用意した文章、画像、複雑な図形などを簡単に黒板に映し出すことができるため、板書を手書きする時間を大幅に節約。教師の負担を軽減することに成功しました」(前出の担当者) 実際、「パッと映せるので飽きがこない」「生徒の居眠りが減った」「待ち時間がなくなり、子供たちが授業に集中してくれる」と現場での声も上々。少子化で需要が減り、廃業する黒板メーカーが増える中、サカワの実績は右肩上がりだ。 掃除で黒板消しをパタパタやっていた昭和世代には隔世の感だ。