「狐憑き」「悪いものがついている」トゥレット症への差別・偏見に当事者が訴えたいこと
それゆえ、地方の田舎では、トゥレット当事者の方が「狐憑き」「異常者」「何か悪いものがついているに違いない」などと陰口を叩かれることもあるとの話も聞いたことがあります。 僕自身は幸いなことにそうした扱いは受けたことはありませんが、実際に地方に行ってみると、チックの症状に対して、物珍しそうな視線を送られることが多いように感じます。 また、別のトゥレット当事者が、地方に住む友人の家に遊びに行った際は、その友人宅のご家族の方がその当事者の出す声や近隣に与える印象が気になったようで、後日、近隣の家に菓子折を持って、「すみませんね。子どもの友人が遊びに来たんですが、こういう病気を持っているそうで……」と挨拶周りに行っていたそうです。 もちろんフォローをしてもらえるのはありがたいことではありますが、トゥレット症という病気がそこまで大ごとになってしまうのであれば、地方の田舎に住んでいる当事者の人はさぞ生きづらいだろうなとも感じます。
もし僕がそんな地域に移り住んだならきっと目立ちすぎてしまって、普通に生活できないかもしれません。 もちろんこの事例は極端な例に過ぎませんし、僕自身も自然豊かな場所は大好きなので、地方にはぜひまた訪れたいとは思っています。だからこそ、病気に対する認知度の格差を縮めたいと考えているのです。 ● 診察のために毎月の上京 地方は医師や病院が少なすぎる 病気に対する地方格差について思うのは、周囲の理解はもちろんですが、もうひとつ大きいのが病院の問題です。 トゥレット症という病気を診察できる病院は地方にはまだまだ非常に少ないのです。ほぼないと言っても過言ではありません。そのため、月に1回程度、診療を受けるために上京するという当事者の人によく遭遇します。 その背景にあるのは、トゥレット症という病気が、そもそも何科の病気に属するのかがいまいちわからないことも原因でしょう。脳や神経の病気なのか、精神の病気なのか。これに対して明確な答えはいまだになく、とにかくトゥレット症を診察できるという先生の元に行くしかありません。