テレビ再放送は稼げるのか? 緊急事態宣言でドラマの現場は
就業形態によって異なるお金の事情
そんな中、やはり気がかりなのはお金の問題。現場のスタッフは制作会社などから派遣されていることが多い。正社員である局員がチーフプロデューサーやプロデューサーを務めても、番組によってはディレクターも社員ではなかったりするとか。制作会社の50代男性社長は説明する。 「そこから制作会社のP(プロデューサー)、AP(アシスタントプロデューサー)、D(ディレクター)、AD(アシスタントディレクター)となってくるんで。ただ、大きな番組は演出の中に局の社員がいます。総合演出みたいな。局の社員ADもいます。そこにたとえば外部の4社ぐらいから4人ずつディレクターが入って、ADも入って。ロール1、ロール2、ロール3ってコーナーの企画があるとすると、1社はZ社、もう1社はE社とか、会社ごとに分けるんです。局は1本いくらで制作会社にギャラを払っても、制作会社はAというディレクターは社員で月給制でもBというディレクターはフリーランスだから1本いくらだったり。そうすると、放送がなくなって再放送や総集編などの特番になった場合、Aには払われることになってもBはギャラがなくなっちゃうんですよ」 同じ番組に携わる人たちであっても就業形態によって事情が異なるようだ。 「中には『総集編ばっかり4本(番組)に呼ばれてるよ』みたいな、内心嬉しい悲鳴をあげている人もいます。彼はスーパーの出し方が並外れてうまいんです。ただ、そういう人も中にはいるけれど、基本的にはいま現場が飛んで実働しなかった人で、1現場あたりいくらの人、つまり1回ずつ請求書を出している人たちはギャラがもらえませんから。ヘアメイクやスタイリスト、衣装さんとかも月契約でなければ●月●日の収録分でいくら、だから。逆に今回の場合は緊急なので、総集編でもスポンサー了解のもと生放送と同じ予算が満額出ていてスタッフに支払えている番組もあるかもしれません。とにかくケースバイケースなので『損か得か』の答えはない、といえると思います」(前出・制作会社社長) 長期化すればするほど、現場の対応などもさらに変化していく可能性があるだろう。取材を続けたい。 (文:志和浩司)