テレビ再放送は稼げるのか? 緊急事態宣言でドラマの現場は
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、テレビ局が放送する番組もドラマをはじめ再放送ものが増えた。収録がストップしてしまっては手も足も出ない。そんな中、「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)をはじめ前クールで終了したばかりの「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)など再放送の番組が2桁台の高視聴率を稼いでいるケースもある。テレビ局にとっては“おいしい話”なのかなとも思われるが、実はそうでもない複雑な背景があるという。いまテレビ局や番組スタッフはどういう状況に置かれているのか。
緊急事態宣言で完全に止まったドラマ収録
「基本は『新しいものがいい』なんですけど、こういう事態になって過去の優良コンテンツを放送してクレーム言う人もいないでしょうし、再放送が増えたことでおいしいかおいしくないかと言われれば、どちらでもないんじゃないかと思います」と話すのは、民放放送局の50代男性スタッフだ。 ただ、これが現場レベルの話になってくると少々複雑な事情があるようだ。 「基本、打ち合わせにも局が使えない不自由な状況です」と、別の民放放送局の40代男性スタッフは現状を嘆く。「再放送でおいしい? いやいや、再放送で視聴率が出てもほめられたことじゃないですよ。コロナでこうなっているのは確実に悪いこと。一面だけ見れば苦渋の選択だけどスタッフも家に置いておけるし楽な面もあるかもしれない。それでお金が浮いている番組もあるかも。でも、泣いている人もいるわけですよ」(同スタッフ) 制作会社の30代男性スタッフは現状を明かす。 「いろんなドラマが撮休に入っているんですが、僕が携わっているドラマは緊急事態宣言が出る前まではロケをやっていました。いま結構な確率でホテルやオフィスビルの中とか空いているので、順調に飛ばさないでやっていたんです。コロナ対策はしていましたよ。演者さんも出番の合間も控室は使わず、駐車場にとめた車に戻って休憩していましたし、できるだけ接触しないよう食事もバラバラでした」 しかし、それも緊急事態宣言以降はストップしてしまったという。また別の民放放送局でバラエティー番組に携わる40代男性スタッフは話す。 「新しい収録ができないのでMC部分だけ外の景色が見える場所で撮って、あとは過去の放送分を編集して総集編をオンエアしたんですが、生放送じゃなく総集編Vになったことで編集費とかMA(音声編集)費、音響効果費、ナレーション費、スーパーを入れたり、いままで生で入れてたのが全部後から入れるわけで、徹夜作業が増えたり、その時間と労力を考えると『赤』になっちゃったりする」