「転職しようかな」「会社員は自由がない」…“今の会社を辞める”という選択肢が浮かんだとき、後悔しないための判断基準【ワーママ歴31年/60代現役女性管理職がアドバイス】
上場企業に勤める傍ら、自らの経験が役に立てばとブログやX(旧Twitter)で情報発信をしている「いくみ@女性管理職&ブロガー」氏。現状の会社員生活に悩み、転職や起業を考えている人は多いでしょう。自分にとって転職や起業は本当に解決策となりうるのか? いくみ氏の著書『女性管理職が悩んだ時に読む本』(2023年、日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、重要な視点を紹介します。
【悩み(1)】今の会社でいいのか、迷ってきた…。転職すべき?
組織変更やら配置転換やらがいろいろと発生して、自分のやりたい方向とズレが生じると感じた時に、「この会社でこれからもずっとやっていけるのだろうか?」と壁にぶち当たることもありがち。続けるのか場を切り替えるのか? 頭の中に「転職」の二文字が去来します。果たして、転職すれば悩みが解決するのでしょうか? ■「制度」や「上司」ではなく、「信念」に拘る どの会社で勤務するか? という点において重要だと私が考えているポイントが2つあります。 (1)会社が目指していることや事業ミッションに共感ができる (2)個人の属性(例えば、性別やら年齢、家族のありなしやら、学歴やら)にかかわらず、どの社員に対しても等しくチャンスが与えられている もちろん、働くということは報酬を得ることですから、より多くの報酬を得られるに越したことはありませんし、また、尊敬できる上司がいるかどうか? という点も気になることでしょう。 転換にさらされたとしても、この2つが揺るぎない限りは続ける。それが私が今の勤務先で20年やってきてこれからも続けていこうという大きな理由。 報酬規程はずっと同じとは限りませんし、会社の業績によって変化する側面も持ち合わせています。求人情報などを見て「他社の報酬が自社のより上回っているから」と、その点をメインに転職を決める場合もあるでしょうが「金額」にターゲットにしてしまうと、規程がもし変わってしまったらさらに次、またさらにその次、と職場をどんどんチェンジしていく羽目になりかねません。 尊敬できる上司の存在にしても然り。私がこれまで仕事をしてきて、最も尊敬できる上司がいて、その元で働いていた時は職場全体が活気にあふれ実り多き毎日。会社に行くのが楽しくて仕方ありませんでした。勤務先の創成期の頃から活躍していた人で、これからもずっと付いていきたいと思っていたところ、残念ながらその数年後に退職(転職)してしまったのです。その時の喪失感といったら半端ない。「いっそのこと自分も辞めてしまおうか?」そんな思いにも駆られそうになりましたが、ふと冷静になって気付いたのです。 「制度」や「上司」に拘るのではなく、「信念」に拘ろう。 自分でポイントだと考えることが、勤務している会社の特徴と合致している限り、いろいろあったとしても、なんとか乗り切っていける。 一方、事業ミッションと相違が出てきてしまったのなら、もちろん転職を選択することもやぶさかではありません。 -------------------------------------------------- <ワンポイント> 「悩みは転職で解決できる?」と単純に考えないで、自分の信念と企業風土が合っているか? ということで進路を定めていくとよいでしょう。 隣の芝生は青く見えるもの。一時の衝動やら表面的なことだけで決めないことをお勧めします。 --------------------------------------------------