日本のサラリーマンよ、いいかげん「昭和の一社懸命」はもうやめよう
半導体やAIなど先端分野の協力が目玉であるが、もうひとつの重要案件は、ジョン・ケリー氏の後を継いで気候変動担当大統領特使に就任する予定のジョン・ポデスタ上級補佐官との間で、日米のクリーンエネルギーをめぐる協議を深めることだ。すなわちアメリカ側のIRA(インフレ抑制法)と日本のGX(グリーントランスフォーメーション)を一体化するのが狙いだ。 なぜそんなことが必要なのかって? それは「トランプ2.0」(「もしトラ」よりも上品なので、最近はこっちの表記が増えている)に備えてのことだ。次期大統領がトランプ氏になったら、彼はIRAを破棄しようとしてくるだろう。そこでアメリカの「脱炭素政策」が後戻りしないように、日本側に「フックをかけよう」としているのだ。
■「昭和のシステム」が崩れれば日本の賃金は上がりやすくなる ことほど左様に、日本経済の戦略的価値は上がっている。ところが肝心の日本人自身が、とっても悲観的なムードを引きずっている。物価上昇は止まらないし、賃金は上がらないし、ろくなことはなさそうだよねえ、ということである。 そこで問題は、「物価と賃金の好循環」をどうやって実現するのか、ということに回帰する。前回の記事では「来年の春闘が大事」「3年連続の賃上げを」などと書いたけれども、それはあまりにも悠長すぎるかもしれない。
と思っていたら、4月8日の日本経済新聞朝刊に「中途採用5割迫る、24年度『新卒中心』転換点」という記事が出ていた。2024年度の採用計画に占める中途採用比率は、過去最高の43.0%となったそうだ。そうそう、これだよ、これ! 察するに多くの日本企業が「これからの本格的な少子化時代、新卒だけではとても人員の補充ができない」と考えているのであろう。だからその分は中途採用を増やすしかない。となれば、キャリア採用は「売り手市場」となる。わが国の雇用の流動化は進むし、当然、賃金も上昇するはずだ。